2011年03月11日

友引ツーリングクラブ8(こまったやつら)

 なんだかわけの分からない気持ちでいる康平の携帯が鳴った。
「ねえ、康平。たいへん。私のお父さんが交通事故を起こしちゃった。いっしょに病院へ行ってくれない?」
 梨花だった。声はいつになくうわずっている。
「わかっった。どこの病院? 市民病院だね。今、図書館だから直接行く。ロビーで待ってて」
 康平が自転車で着くと入り口に梨花がいた。二人で病室にかけこむと梨花の父親が苦笑いをした。
「梨花。なんだ、康平君まで心配かけて。すまなかったねえ。ちょっと不注意だった」
 父親が頭を下げると梨花は康平をみた。
「ただの事故だったら、心配しないよ。やっぱりいろいろ変なのよ」
「変って? タヌキの化け物をひいたとか?」
「それなのよ。しらみやさんの仲間のお坊さんが、よくにたこと言ってたでしょ。それだけじゃなくてね、さっき警察が来たのよ」
 梨花は早口で言った。
「警察?」
 康平がくりかえした。
「今は言えないけど、とんでもないことが始まっているって。お父さんからいろいろ聞いて帰って行った。これが名刺」
 梨花が出した名刺には「鬼塚」と書いてあった。康平はさっき図書館で会った男を思いだした。たしか、自分は鬼だと言っていた気がする。康平が視線を上に向けて思い出していると梨花が口を開いた。
「それもねえ、気味の悪いお巡りさんだった。首にミミズみたいな傷跡があったの」
 梨花が言うのを父親が止めた。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 06:59│Comments(0)
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