2011年03月31日

友引ツーリングクラブ11

 康平は家に帰ってインターネットを開いた。利修仙人で検索してみた。アマチュア歴史家のページが出てきた。鳳来寺山の写真の下に記事が載っている。利修仙人は1300年ほど前の修験者で鳳来寺山を開いたとされている。3匹の鬼をつれていて、自分の寿命がつきる時に鬼たちの首をはねたという。ページの下の方にメールアドレスが書いてある。康平はメールしてみるこtにした。利修仙人に興味があること、まわりで変な事故が起こっていること、それに前に見た夢のことまで書いた。知らない人にいきなり失礼だったかなと後から思った。
「この鬼たちが、あのおっさんが言ってた鬼か」
 康平はぽつりと言った。梨花に電話しようとして携帯を手にしたらちょうど呼び出し音がなった。梨花だった。
「康平。たいへん。病院からもどるところで、今、三明寺にいるんだけど、しらみやさんが変な男たちに連れられていく」
 小声で梨花が言った。
「梨花ちゃん。今すぐ行くから、軽はずみなことしないで」
 康平の声が聞こえたか聞こえないうちに梨花の大声が響いてきた。
「あんたたち、何してんのよ。いいかげんにしなさいよ」
 梨花の怒り声が電話の向こうで爆発している。走るような足音が近づいてきて、梨花の悲鳴がして電話が切れた。
 康平はあわてて自転車にまたがり三明寺へ急いだ。寺の前の砂利にタイヤの跡が残って梨花の自転車がたおれていた。
 自転車のまわりを見ていると、本堂のかげから男が出てきた。前に見たことがある。友引ツーリングクラブのメンバーだった。
「ごめん。どうすることも出来なかった。ぼくが来たときには、もう、白宮さんも女の子も車に乗せられるところで、後を追いかけようとしても足が震えてバイクを出せなかった」
 男は泣きそうな声を出した。
「警察に電話しましょう。あと、白宮さんを連れて行ったの誰ですか」
 康平も震える声で言った。
「この前のマンションの社長でした」
 男と康平は警察に電話した。
 



Posted by ひらひらヒーラーズ at 10:25│Comments(0)
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