2011年04月02日

友引ツーリングクラブ12

 康平が電話すると、原付に乗ったお巡りさんがやってきた。
「あのう。あなたが110番した人? 名前と住所教えて。あと、仕事は? ああ、学生さん」
 巡査は康平に聞いたことを紙ばさみの書類にはさんでから、ジロジロと康平を見た。それから、いっしょにいた友引ツーリングクラブの男に目を向けた。
「あなた。**寺の坊さんですよね。家ねえ、檀家なの。お世話になってます。それでさっき、電話で聞いたことなんですけど、あなたたち、だいぶあわててたでしょ。あのね、こういう電話よくあるんですよ。誘拐とか拉致とか言ってねえ、捜査してみたらただのケンカだったっていうの。連れて行った人も知り合いなんでしょ。悪いこと言わないから、夕方まで待ってみて。きっと連絡くるから。それじゃね」
 巡査はそう言って、原付に乗ると去っていった。
「連れて行ったの知り合いなんですか」
 康平が聞いた。
「うん。前にマンションの悪魔払いを頼みにきた男だった。マンションのことでもめたのかも知れない。もしかしたら、警察に裏から手を回したのかも。もう、白宮さんたち殺されてるかも」
 友引ツーリングクラブの男は声が震えていた。康平は声が出せなかった。
「心配はいりませんよ。こういう事件は、そう早く進んではいきません」
 本堂うらの駐車場の車から男が降りてきた。康平が梨花の父親のお見舞いで出会った男だった。警察官を名乗っていた。
「あなたに会ったのは、はじめてではありませんな。じつは、私は仕事としてではなく、一個人として、首筋にミミズのアザのある男を捜しております。まあ、細かいことはまたお話するとして、首筋にアザのある男が三人、同じ時代、同じ地域に現れるということを聞きました。その三人が何か世直しのようなことをすると。その三人をこっそりあとをつけておりました。ところが、順にケガをしていく。これは何かあると思い。こうして歩いております」
 男はそう言って、康平をじっと見た。



Posted by ひらひらヒーラーズ at 21:10│Comments(0)
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