2011年04月25日

友引ツーリングくらぶ(草砥鹿姫)

「草砥鹿? じゃあ、やっぱり草砥鹿姫の一族なのか」
 村鬼はうめくような声を出した。鬼塚はいっしゅん、村鬼と梨花を見た。
「草砥鹿姫?」
 しらみやがみんなを順に見た。社長と康平そして当の梨花がぽかんとしていた。その社長の顔にいやな曇りがあらわれた。横にいた梨花の肩を乱暴につかむと、ポケットからナイフを出してつきつけた。
「なんだか分からないが、警察まできたんじゃしょうがないよねえ。しらみやさんとか言ったなあ、ありがたいお坊さん。すみませんがねえ、順番にこの人たち後ろ手に縛ってくれませんか。そのへんに、電気のコードとか、パソコンのケーブルとかあるでしょ」
 社長は、しらみやが泣きそうな顔で突っ立っていると、梨花に向けたナイフをギラリと光らせて鬼塚を見た。鬼塚は社長から目をはなさないまま村鬼、しらみや、と縛らせた。康平を縛ろうとしたしたとき、社長は鬼塚を見た。
「先に、刑事さんを縛ってもらおうか」
 目で康平にしめした。康平は社長から目をはなさないまま、床にあった電気コードで鬼塚の手首を縛った。
「最後は、草砥鹿姫さんに、縛ってもらおうか」
 社長は梨花に言った。梨花は社長をにらんでからパソコンのLANケーブルで康平の手首をまいた。固くて曲がりにくいケーブルはなかなか縛りにくい。
 窓の外には石巻山がきれいに見える。午前中の日差しは山を陰にして、形がくっきりと見える。今ごろ本宮山には強い日差しが当たっているだろう。
 その時だった。石巻山から光の帯が伸びてきて窓から差し込んできた。一気にのぼり、社長を包んだと思うと社長が急に苦しみだした。梨花を放して、床に転がった。康平に手首はまだ完全に縛られてはいない。手首のケーブルとった康平は社長に飛びかかって行った。ナイフを取り上げて投げると、馬乗りになって社長を殴った。そのすきに梨花はしらみやたち三人の手首をほどいて行った。
 社長は後ろ手に縛られ、鬼塚が連絡して呼んだ警察官に連れられて行った。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:44│Comments(0)
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