2011年05月26日

友引ツーリングくらぶ(都から見た三河)

 二人は市電で豊橋駅までもどると、新幹線ホームへいっしょに入った。梨花が先に東京行きのこだまに乗る。列車に乗るまで二人ともなにも言わなかった。
 梨花の乗った新幹線が見えなくなると、康平は胸の辺に穴ができたような気がして涙がでてきた。生まれてはじめてのことだった。
 しばらく、涙もぬぐわずにいると梨花からメールがきた。
「康平。泣いてる?」
 メッセージはそれだけで、赤い目をしてアカンベーの写真がそえられていた。

 康平は京都から近鉄に乗りかえて奈良についた。平城京に近いアパートは学生ばかりのワンルームで管理の不動産会社によって鍵を受け取り、中にはいると先に送った荷物が小さな山になっていた。段ボールを開いてふとんを出し、備え付けのベッドにおいているとドアがノックされた。
「きみが、新入生か。となりの部屋のものだ。**大学だろ。ぼくは国文3回生だ。藤原っていう。よろしく」
 色の黒い大柄な男が立っていた。康平は少し緊張しながらあいさつした。この男が意外に歴史にくわしく頭のやわらかい人物だったが、それはこれからのこと。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:28│Comments(2)
この記事へのコメント
「りんか」とか、大学生の「こうへい」とか、何のこと?

 今出ている『歴史通』2011年5月号に、「危機の『宰相』保科正之」――河﨑貴一を書きました。

 知り合いの編集長が、「歴史ジャーナリスト」の肩書をつけてくれました。
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Posted by 河崎貴一 at 2011年05月26日 22:30
貴一さま
 見つかっちゃった。(笑い)「歴史ジャーナリスト」さまにはお恥ずかしいですが…、ブログ小説で遊んでいます。それも歴史ものです。

 『歴史通』明日買いに行きます。
Posted by しらみやなんきんしらみやなんきん at 2011年05月26日 23:04
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