2011年07月05日

友引ツーリングくらぶ(式神)

「おおい。こっちだ」
 クロヒトは懐中電灯を持って走った。2台のバイクとオープンカー、それに走るやつ一人。闇の中を逃げまわるヌエを追い回すが、最後には身をかわされてしまう。クロヒトは少し疲れてきた。
「鬼をもう一人、忘れてないか?」
 クロヒトの頭の奥に声が響いた。さきほど、草砥鹿姫の声を聞いたときと同じ感じだった。
「もしかして、鬼塚刑事?」
 クロヒトが心のなかでつぶやいた。とその時、公園の道路に近い方からまぶしい光が届いた。公園中昼間のようになった。テレビの刑事番組で見る投光車だった。運転席から四角い顔の鬼が顔を出している。
「すまん。遅くなった。最近はチェックがきびしくてな。これ持ち出すのに時間かかった」
 鬼塚は車を毛むくじゃらの手でゆびさして、それから風王丸だと名乗った。ヌエは急な明るさに目がくらんだのか立ちすくんだ。
 そこへ、バイクとオープンカーとクロヒトのライトが囲んだ。ヌエは牙をむいて威嚇し4人を順ににらんだ。
 投光車をおいた風王丸がライトの円には入り、呪文を唱えてから右手をふりあげてエイっと印を切った。ヌエはうずくまり、小さくなっていった。やがて、ソフトボールくらいの茶色の玉にかわった。
「これが、やつの正体だ。もともと豊川の石だろう。大津の皇子の恨みが式神にしたんだ」
 鬼塚が言ってクロヒトに玉を渡した。
「ぼく。祠においてきます」
 クロヒトは玉を受け取って吊り橋を渡った。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:17│Comments(2)
この記事へのコメント
しらみやなんきん さま

お久し振りです。

友引ツーリングクラブ、ますます佳境に入って来ましたね。楽しく拝読させて頂いてます。

再度、最初から通しで読んでみましたが、ブログではなく、一通しで読みたくなりますね。出版される予定はおありなのでしょうか?

今後の展開を楽しみにしております。

突然で申し訳ありませんでした。
Posted by なおさんなおさん at 2011年07月05日 21:51
>なおさんさま
 ありがとうございます。すごいうれしいです。なんとか出版に持っていきたいと思っております。完成したら、整理して出版社に持ち込もうと考えてます。
 それにしても暑いですね。暑さでどうかなってしまったのか、現実世界でも不思議なことが起こります。詳細はまたブログにアップしますが、事実は小説より奇なりです。
Posted by siramiya at 2011年07月06日 07:29
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