2011年08月24日

現代へと続く海の道(仮題)8

 白宮は家に帰るとインターネットで神島を検索して見た。航空写真で三角形の小さなの写真が載っている。人口は500人で伊良湖岬の南4kmの海上にあるという。カルスト地形という説明と石灰岩がつきだした白い崖に写真に目がとまった。石巻山の頂上ににている気がした。
 さらに伊良湖岬で検索すると東大寺の瓦を焼いていたことが紹介されている。焼いた瓦を船で津へ運んだという。また、別のページには昔、海賊がいたという。九鬼水軍という名で伊勢湾をおさめていたという。
「海賊がいたのか。銅鏡は海賊がうめたのか? それとも財宝を積んだ船が座礁したか」
 想像をめぐらしていると、魚のアザがジンジン熱くなった。そしてなぜか荒川の顔が浮かんだ。そう言えば学校で船をつくると言っていたことを思い出して電話してみることにした。
「あのう。この前、学校でお会いした白宮ですけど、おもしろいものを手に入れました」
 10年前の写真を手に入れたことと、東大寺の瓦のこと、それに神島の写真が石巻山ににていることを言うと、荒川はあっさりのってきた。
「あのさあ、白宮さん。今からこっち出てこれる? じゃあ今から来て」
 荒川はだいぶ興奮していた。白宮もなんだかゾワゾワする感じだった。さっそくナビに荒川の電話番号を入れて走り出す。案内されてのはなんと石巻山のふもとだった。
 古い農家の入り口に「荒川設計事務所」と小さな看板が出ていた。車の音を聞いて荒川が飛び出してきた。
「あのねえ、おもしろいよねえ。学校の船だよね。海賊、財宝。そう言うの入ると子ども喜ぶよね。まあ入って」
 案内されて間口の広い入り口を入ると、農家の上がりかまちの前に小さな机とソファ、その奥にパソコンデスクとプリンターがあった。荒川は一度中へ消えて缶コーヒーを2本持って出てきた。
「そいでねえ、伊良湖岬は渥美釜っていって、おれの焼き物の師匠がいるんだよ」
 荒川はだいぶ興奮していた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 11:22│Comments(0)
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