2011年09月14日

現代へと続く海の道(仮題)21

 白宮と荒川は顔を見合わせた。教室の半分以上が堂々と携帯型ゲームをやっているのである。二人は階段の踊り場に行った。
 「先生。なにも言えないんでしょうか」
 白宮が言っても荒川はだまったままだった。そのまま、授業が終わるまで待った。担任の女の先生が出てくる。後ろから神崎勇人がついてきた。
「あのう。6年2組の先生ですね。あとでちょっといいですか?」
 荒川が声をかけると、先生はちょっと困った顔をした。勇人の方をふりかえる。
「先生。この人達なら、だいじょうぶです」
 勇人が小さな声で言った。先生が白宮と荒川を見てうなずいた。4人はそのまま校長室へいくと、校長先生もやってきて5人で話すことになった。
「じつは、今朝、勇人くんが、イジメのことを告白してくれました」
 先生は一度勇人を見てから校長に言った。校長先生は微笑んでうなずいた。
「昨日。教頭から聞きました。こちらのお二人が、イタズラ書きを見つけてくださったとか。いろいろ外部の方までご心配をかけますな。申し訳ありません」
 校長は白宮たちに頭をさげた。先生は白宮たちを心配そうに見た。
「あのう。私、子どものころ、イジメにあいました。だから分かるんですけど、教室から先生がいなくなると、イジメって始まるんです。でも、先生だってずっと教室にいるわけにもいかないでしょ。だから、明日から毎日交代で教室にきます。許可をください」
 荒川は深く頭を下げた。白宮がびっくりした顔をしているのを気づくと両手で押さえて頭を下げさせた。
 校長先生は答えない。女の先生が泣きそうな声でつぶやいた。
「校長先生。私からもお願いします。なんとかしたいんです」
 校長先生はしぶしぶうなずいた。こうして、白宮と荒川が学校へ行くことになった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:00│Comments(0)
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