2011年11月10日

現代へと続く海の道(仮題)65

 仕事中の白宮の携帯が鳴った。刑事の村尾だった。
「白宮さん。私も仲間になれたようです」
 村尾は笑いをこえらながら話している。そう言えば、最初に会った時、赤いアザがあったような気がする。
「もしかして、水晶玉が出ましたか」
 白宮が言うと、電話の向こうでちょっと笑いがもれた。
「それだけじゃありません。あなたをケガさせた男をつかまえましたよ。電話ではちょっと具合が悪いんで、今日時間とれますか?」
 村尾はゆっくりとしゃべった。
「はい。あのう。夕方なら、荒川さんも大丈夫だと思います」
「じゃあ、あのう。**小学校の近くにあるそばやはご存じですか?」
 村尾が言ったのは、白宮が最初に荒川にあったそばやだった。白宮は行く約束をして荒川に電話した。

「いやあ。すみません。お忙しいところを」
 夕方、白宮がそば屋に着くと、村尾と荒川はいちばん奥の席にいた。白宮はあいさつをすませてからそばを頼んだ。
「じつは、小学校の前に、マンションがありますな。あそこの一階で占いの館があったんです」
 村尾がそこまで言ったところで、白宮が口をはさんだ。
「そこ、知ってますよ。香坂さんていう女性の占い師でしょう。なんどかカラーコピーの修理に行ってます」
 白宮の言葉に、村尾を荒川も驚いて顔をみあわせた。村尾は気を取りなおして続ける。
「知ってるンなら話は早い。あの占い師が、相撲取りみたいな大男に白宮さんや、荒川さんを襲わせたらしいんです」
 村尾は「香姫の館」に聞き込みに行って、逆に襲われ殺されそうになったこと、危ないところで水晶玉に救われ大男を逮捕したことを説明した。
「でも、なんでまた俺たちを? 襲ったってメリットなんかないでしょ」
 今度は荒川が口をはさんだ。村尾は回りも見まわしてから小さな声で話し出した。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:11│Comments(0)
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