2011年11月21日

現代へと続く海の道(仮題)72

 白宮と荒川が職員室へ入ると、勇人の担任が一人だけだった。机の上には何ものっていないのに、一つところをじっと見ている。
「先生。なにか連絡ありましたか」
 白宮が声をかけるとやっと顔を向けた。変なかげがあるようで、急に十才くらい年取ったように見える。
「白宮さん。なんか見えないか?」
 荒川は職員室のすみを指さした。言われてみると、黒い大きなかげがあるような気がする。
「ほんとだ、なんだろう」
 白宮が言って、勇人の担任が目を向けると消えた。そして担任が急に立ち上がった。
「たいへん。勇人くんと早川くんを探さなきゃ」
「まあ、落ちついてください。勇人くんは、今、駐車場にいます。いっしょに早川くんを探しにいくそうです。心配はいりませんよ。一人じゃありません。弓道の師匠といっしょです。これから早川くんの家によってみます」
 白宮が言って、担任はやっと落ちついてイスに座った。
「じゃあ、すみませんが、先生は荒川といっしょに早川くん家に行ってくれませんか」
 白宮は荒川と先生に頼んで、車にもどった。勇人と弓道の師匠を乗せて車を出した。勇人が早川の立ち寄りそうなところを案内していく。以前よく遊んだ公園や駅前の塾へも行ってみた。あと、どこへいこうかと言い合っているところで携帯が鳴った。荒川だった。
「白宮さん。学校へもどってくれ。船のところで早川君をみつけた」
 白宮はあわてて学校へもどった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:48│Comments(0)
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