2012年01月03日

居直り天女10

「いい。二人とも。愛の告白はねえ。堂々とストレートよ。ちゃんと、相手を見つめてねえ、こう言うの。『好きだ。きみは世界中の人に愛されるほど素敵だけど、ぼくだけを見ていてほしい。きっと誰よりも幸せにする』」
 天女は自分の言葉に気持ちよくなったのか、フラフラ飛びながら言った。
 ぼくと勇一は呆れて顔を見合わせた。勇一がやっと口を開いた。
「でも、そんなことはずかしくて、いえません」
 言いながら顔を赤くしている。ぼくもうなずいた。
「わかってないなあ。人を愛するってことはねえ、相手のためにどれだけ強くなれるってことなの。どれだけ、かっこ悪くなれるかってことなの。いいかっこのままでは、大事な人を守れないでしょ」
 天女が振向くと、ぼくたちは振り落とされそうになった。ぼくたちは天女にしがみついた。
「あのねえ。二人とも、プライドを捨てなさい。自分のカラを脱いで居直るの。そうしたら強くなれる」
 天女が強く言った。ぼくはなんだか妙に納得した。昼間、天女が部屋にやってきた時を思い出した。
「居直るのか。そうしたら強くなれるかな」
 つやいたのは勇一の方だった。

 そうこうして、豊川の上空にもどったのは夕方だった。夕陽が三河湾に落ちていく。
 ぼくは天女に教えて裕子の家まで飛んでもらった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:39│Comments(0)
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