しらみやなんきんのシマイニャ本音をいうぞ

　明江は衣装を受け取ると、椿といっしょにきた女性職員に案内されて更衣室にいった。衣装を身につけると緑や赤が入ってなんだか天女のようでちょっと恥ずかしくて、うれしかった。
　更衣室を出ると、これも衣装をかえた椿が待っていた。黒いだぶっとしたズボンに中国風の上着だった。
「光村さん。お似合いですよ」
　椿が笑顔で言った。
「椿さんこそ、昔の役人みたいです」
「これは、かなり身分の高い人の服ですな。明江さんが着ていらっしゃるのは、皇女のものですよ」
　椿が照れ笑いを浮かべた。さっき見た平城宮の模型の前を通ってパネル写真のコーナーへ連れて行った。遺跡発掘の写真に続いて東大寺の大仏が紹介されている。
「明江さん。大仏が作られた目的はご存じですか？」
　椿が言った。衣装のせいかちょっと貫禄がある。