2012年04月17日
青い炎を灯せ60
あくる朝、明江は法華寺へ向かった。尼さんたちが忙しく炊き出しをしている。三河丸が何人か仲間をつれてきて、男たちの協力者もいる。寺の中には蒸し風呂を待つ人達が列をつくっていた。
「まだ、肌の病気がはやっているの?」
明江は年配の尼を見つけて声をかけた。尼は少し顔を曇らせる。
「はい。こうして薬の入った蒸し風呂に入っていただいた方は良くなるんですが、都にはどんどん病気がひろがっているようです」
明江はだまってうなずいた。三河丸が後ろから明るく手をふるのが見えた。なんだか気持ちが軽くなった。
「皇后様。行基様はすごい人気ですね。あちこちで噂を聞きますよ」
小さい声で言いながら左目をつぶった。明江は笑ってうなずいた。さきほどの尼さんが会釈して立ち去っていった。
「皇后様。ちょっとよろしいですか?」
人ごみの中から長屋王が現れた。丁寧に頭をさげる。明江が先に立って奥の間に入った。
「さっそくですが、皇后様。最近行基という僧が人気を集めているようですが、朝廷に認められずに勝手に僧を名乗っていると聞きました。これは問題ではないでしょうか」
長屋王はじっと明江を見た。あいかわらず、すいこまれるようなきれいな瞳をしている。
「そのようですが、いい事をしていると聞きました」
明江は目をそらしながら答えた。
「皇后様。その行基という男が問題なくても、同じような者が現れて世を惑わすことが考えられます」
長屋王は明江のそばによった。明江はじっと長屋王を見た。
「まだ、肌の病気がはやっているの?」
明江は年配の尼を見つけて声をかけた。尼は少し顔を曇らせる。
「はい。こうして薬の入った蒸し風呂に入っていただいた方は良くなるんですが、都にはどんどん病気がひろがっているようです」
明江はだまってうなずいた。三河丸が後ろから明るく手をふるのが見えた。なんだか気持ちが軽くなった。
「皇后様。行基様はすごい人気ですね。あちこちで噂を聞きますよ」
小さい声で言いながら左目をつぶった。明江は笑ってうなずいた。さきほどの尼さんが会釈して立ち去っていった。
「皇后様。ちょっとよろしいですか?」
人ごみの中から長屋王が現れた。丁寧に頭をさげる。明江が先に立って奥の間に入った。
「さっそくですが、皇后様。最近行基という僧が人気を集めているようですが、朝廷に認められずに勝手に僧を名乗っていると聞きました。これは問題ではないでしょうか」
長屋王はじっと明江を見た。あいかわらず、すいこまれるようなきれいな瞳をしている。
「そのようですが、いい事をしていると聞きました」
明江は目をそらしながら答えた。
「皇后様。その行基という男が問題なくても、同じような者が現れて世を惑わすことが考えられます」
長屋王は明江のそばによった。明江はじっと長屋王を見た。
Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:26│Comments(0)