2012年07月22日

青い炎を灯せ102

 明江は清涼殿につくと、女官に命じて宇合を呼び出してもらった。待っている間、頭の中には宇合に投げつけてやりたい言葉が次から次へと浮かんできた。それとともに明江自身の浅はかさにも腹が立ってきた。
 ほどなくして、女官がもどってきた。いくぶんあわてているように見える。
「皇后様。落ちついてお聞きになってください。右大臣、藤原の宇合様が病の床に伏されたご様子です」
「兄さんが病気?」
 明江は最初本気にしてなかった。
「あの兄さんのことだから、仮病でしょう。こちらから出かけて行きます」
 明江が輿の準備をさせていると、宇合のもとから使者がきた。
「我が主、宇合が死去しました」
 明江は言葉を失った。
 明江が呆然としていると、房前の使者が来た。麻呂の使者が、むち麻呂の使者がやってきた。三人とも急死したという。
 天皇はその日の夕方もどってきた。
「藤原の四兄弟が死んだか」
 天皇も信じられないという口調がだった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 16:32│Comments(0)
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