2012年08月12日

青い炎を灯せ114

「こういう時は、とにかく一つにまとまることです」
 明江の言葉に天皇がうなずいた。胸に手をあてて目を閉じ何度も首をたてに振っている。
「天子様。まずは三関をふさぎましょう。不破と鈴鹿の関をふさげば、海上からの軍は防げますし、西に乗じて東国の不満分子が決起することも抑えられます」
 あわててやってきた真備が言った。彼は唐で兵法も学んでいる。
「なるほど、関を押さえておいて、あとは防人に行っている兵達に、赤間が関(関門海峡)を押さえさせればいい。船を使った手旗信号で急をしらせればいい」
 後からやってきた玄坊がうなずく。この当時の通信手段で海上の船が旗を揚げて数キロごとにならび、関をふさぐ等の簡単な通信は出来たという。奈良の都から、早馬で難波までぬけ、そこからの通信で関門海峡まで二時間ほどで通じたと伝えれている。
「でも、それでは都の警備が薄くなります」
 一人の官人がつぶやいた。一度は明るい顔をとりもどした天皇の顔がくもる。明江が口を開いた。
「兵士でなくても、都を護れると思いませんか」
 明江は天皇と真備を見た。真備がゆっくりとうなずく。
「この前の火事といい、奈良の人たちの国を思う気持ちは強いです。護れるかも知れません」
 真備の言葉に、天皇がうなずいた。官人たちも動き出した。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 10:00│Comments(0)
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