2012年08月14日

青い炎を灯せ115

 天皇は大野の東人を将軍にして太宰府に向かわせた。都の警備をしていた兵達をつれて西へ向かっていく。
「さあ、私たちは都を固めましょう」
 明江が声をかけると、舎人の親王が三河丸を連れて出ていった。清涼殿に明江が残ると、天皇は僧の姿になった。明江が顔をのぞきこんでにやりとする。
「行基の方が人がついて来ますね。あなたは旅行に行っていることにします」
 明江が言うと、僧形の天皇は笑ってうなずいた。そしてこっそりと出ていった。天皇が清涼殿を出ていったことを確認すると、明江は着替えて薬師寺に向かった。途中、男達がわさわさとしている。どこかで噂を聞いたのだろう。
「皇后様。たいへんですね。太宰の府では、謀反人が出たとか」
 玄奘三蔵が走りよってくる。
「今は、みんなで国を護ろうと思って。それだけです。さきほど、行基も町に出ていきました」
 明江の言葉に、三蔵がうなずく。
「だいじょうぶです。みんなで護ろうとする国が滅びることはありません」
 三蔵が言い終わったところで、男達が走り込んできた。手には鍬や備中を持っている。
「今、行基様から聞きました。この国は、俺たちで護ります」
 男達は言った。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:53│Comments(0)
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