2012年10月10日

み~んな化け物 新作です!!


 今日は楽しみにしていためちゃくちゃパーティ。ぼくの父ちゃんと母ちゃんが親戚の結婚式に出かけていったので、このチャンスとばかりに、勇一と正夫と信二を呼ぶことにした。三人は、小学校に入ったときからのつきあいだから、もう五年になる。勇一と正夫は待ちきれずに早く来たけど、信二はいつものことで時間に遅れている。三人で信二を待っていた。
外は弱い雨がふっていた。テレビにもあきて、おやつも食べ過ぎてあきていた。 
 
「なあ、和夫。うちのクラス祐子がさあ、おまえとうわさになってるの知ってるか」
 とつぜん、勇一がぼくを見た。けっこうきつい視線だった。祐子っていうのは、クラスで一番の人気だ。勉強は中ぐらいだけど、笑顔がかわいいし話がおもしろい。それになにかと面倒見がいいから男はみんなねらっている。
「なんだよ。知らないぞ。そんな話」
 ぼくはそう言って笑ったけど悪い気はしない。
「この前の日曜日、駅前のコンビニに二人でいるとこみたって聞いたぞ」
 勇一はかみつきそうな顔でせまってくる。
「日曜日なら、ぼくはサッカーの試合で朝からいなかったよ。もし、どうしても見たっていうなら、ぼくの生き霊かな? そう言えば、学校七不思議って知ってるか」
 めんどうだから、話をかえたら勇一が乗ってきた。
「ああ知ってるよ。図書館で誰もいないのに、本をめくる音がするとか、プールで足をひっぱられるとか言ううわさだろ」
 勇一が言って、ぼくがうなずいた。正夫はなぜか小さくなっている。
「ぼくらのクラスにも出るんだってゆうれいが」
 勇一が言ってのぞきこむと、正夫はカメみたいに顔をひっこめた。ぼくと勇一は不思議がって正夫を見た。
「ごめん。今まで言い出せなかったんだけど、それ、ぼくなんだ」
 正夫は小さな声で言った。
「ええ。なに、あのゆうれい見たのって、正夫なのか。すごいじゃん」
 ぼくが言って肩をたたいたら、正夫は首をふった。
「そうじゃなくて、ぼくがそのゆうれいなんだ。今までだまっててごめん」
 そこまで言うと、正夫は体が透きとおって消えた。ぼくたちが正夫のいたあたりを探しているとふわりと現れた。
「ごめん。ずっとだまってて。ぼく、五〇年も前に死んでいるんだ」



Posted by ひらひらヒーラーズ at 18:58│Comments(0)
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