2012年10月15日

みーんな化け物4

「まあな、いろんな技が使えるとうになるなあ。たとえばカクレミノとか、ハウチワとかあるんだけどなあ。このカクレミノがおもしろいんだぜ。透明人間みたいに姿が消せるんだ」
 カラス天狗にはなった勇一は、羽根で体をかくすような形をした。ところが、急にキョロキョロし出したと思うと、スズメみたいに足をそろえてピョコタンピョコタン跳ねて部屋のすみの方へいく。そしてカラーボックスに頭をつっこんでガサゴソやって、ぼくが大事にしているトンボ玉をくわえて顔をだした。
「おい、勇一」
ぼくは大声になった。
「ごめん。気を許すとさあ、カラスのくせが出てキラキラする物くわえちゃうんだ」
 勇一は両手をあわせてあやまりながら、右側のはねで頭をかいた。
「でも、カラスってことは空が飛べるんだよな」
 正夫はおそるおそる勇一の背中のはねをさわった。勇一はくすぐったそうに体をそらした。
「それにしても、信二のやつ遅いよな。あいつ今年から風紀委員になったせいか、俺たちのことやたらチェックしてくるだろ。廊下を走るなとか、遅刻するなとか俺たちには言っておいて、自分は遅れてくるんだもんな。今日のこと何か聞いているか」
 勇一が目玉をクチバシの方に寄せて言った。
「なにか、へんなこと言ってたなあ。「学校や地域の枠を越えた風紀委員の会」があるとかなんとか・・・」
 正夫は何か言おうとして、口を動かすたびにはっきり姿が現れる。
「学校の枠をこえた風紀委員の会? また、わけの分からんことしているんだよなあ。ところで、和夫おまえまで、じつは・・・っていうんじゃないだろうな」
 勇一が言うと、正夫も身を乗り出してきた。ぼくは二人の間に顔を近づけた。
「ほんとに大したことないんだけど、ぼく「吸血鬼」なんだよ」




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:15│Comments(0)
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