2012年11月02日

み~んな化け物15

あくる日、ちょっと早めに学校に行った。勇一と正夫が待っていた。
「和夫。やっぱり心配で早く来たのか」
 勇一が言ってぼくがうなずいた。
「みんな来る前の方が落ちついて話せるよね」
正夫が小さい声で話し出した。
「昨日も話したけど、ぼくは五〇年前から小学生やってるからこの学校のことはむかしから知っているし、いろんな小学生も見てきたけど、信二みたいなやつははじめてだな」
 正夫は首をかしげてまばたきした。
「それにさあ、あいつが言ってた。『妖怪法違反』とか言うのもなんだかわからねえなあ」
 勇一は腕組みをした。妙な貫禄があって、昨日見た天狗の姿を思い出した。
「信二自身も気づいてないだろうけど、もっとせこい理由でうらんでるような気がする。ぼくのこと」
「だけど、まあくだらない噂を流したもんだな。おまえも」
 勇一が軽く笑ってぼくを見た。
「ちょっとストップ」
 正夫が小声で言って、入り口を視線でさした。ぼくたちが話をやめると入り口の戸が開いて、祐子が入ってきた。
「あれっ。めずらしい。いつも遅刻ばかりしている三人が。どうかしたの」
「いやなんでもない。算数の宿題見せてもらおうと思ってさあ」
 勇一がなんとかごまかした。
「算数? 今日宿題なんかあったの」
 祐子は笑いながらぼくたちを見た。
「いや。違ったかも知れない。うん。こいつ勘違いしてるんだ」
 ぼくは、勇一と正夫を引っぱって教室をでた。中庭で適当に時間をつぶして始業のチャイムを待った。 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:27│Comments(0)
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