2012年11月13日

み~んな化け物23

「あほらしい。あれはただの噂だよ。ほんとだったらうれしいけど」
 ぼくが言った。勇一と正夫がぼくをつついた。
「まあいいよ。とにかくもどろう。朝礼終わるぞ」
 ぼくが言って、三人とも人間の姿にもどった。信二はふらふうらしながら歩き出した。
「おい。お前らどうなってんだ」
 担任がぼくらの横で小声で言った。校長先生の話はまだつづいている。一週間休んでいるはずの信二がいっしょにトイレからもどって来たのも不思議なんだろう。
 ぼくたちはにっこり笑ってごまかした。

 校長先生のあいさつが終わったところで、こっそりまたのぞきをやってみた。これが驚きだった。校長先生は狸、教頭先生はキツネ、ぼくらの担任は唐傘おばけだった。子どもたちも一つ目小僧だったり、ろくろ首だったり、カッパだったりしてどうやら人間は信二だけだったようだ。祐子が化け猫だった。
 ぼくは、勇一と正夫の耳元でささやいた。
「おい。おれたちだけじゃないぞ。みんーな化け物」
 
 
   
 
 
 
 
   




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:26│Comments(0)
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