2011年09月09日

現代へと続く海の道(仮題)18

 勾玉は白宮が持って帰った。上着のポケットに入れておいたが夜中にトイレに起きたときになんだか気になった。話し声が聞こえたように思った。手にとってからポケットにもどしてねむった。そして不思議な夢を見た。
 きれいな海に島が二つ浮かんでいる。そのうちの大きい方は亀の形で小さい方には鳥居が立っている。白宮は小さい島に立っていて他に男が三人と子どもが一人いた。男の一人は荒川で子どもにはどこか見覚えがある。
「香姫は鳥になったな」
 荒川が言った。
「西の空に飛んで行った。都に向かったんだな。夫が眠っている場所だ」
 白宮が答えると、荒川が西の空を見あげてつぶやく。
「因幡のシロヒトよ。おれも死んだら鳥になって常陸に帰りたい」
 荒川が言ったことに白宮はとくに疑問は感じなかった。もう一人の小柄な男が荒川の肩に手を置いた。
「荒瀬よ。俺たち、最後まで戦おうぜ。で最後に生き残ったやつが蓬莱へ行くんだ」
 男が言うと、子どもが手を広げた。その手には勾玉が乗っている。男二人がうなずくと子どもは勾玉を握りしめた。
 どのくらい時間がたっただろう。沖合の船から矢が飛んでくる。男たちが子どもをかばいながら矢を打ち返し、矢にあたって一人ずつ倒れていく、白宮も砂浜に臥て意識が薄れていく。消えゆく意識の中で子どもが倒れるのが目に入った。
「亀島のイサミ。頼むぞ」
 どこかから声が聞こえて、子どもの体は白い鳥になって飛んでいった。

 目が覚めると白宮は携帯で荒川に電話した。
「おい。なんだかすごい夢を見たぞ」
 興奮してしゃべり出したのは荒川の方が先立った。
「ぼくもです。勾玉の夢です。島で子どもが白い鳥になって」
 白宮が最後まで言い終わらないうちに荒川がさえぎって言う。
「白宮さん。たぶん、同じ夢だ」

 
   


Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:45Comments(0)