2011年11月28日

現代へと続く海の道(仮題)77

 明くる日、白宮と荒川は朝から**小学校の校長室にいた。校長と勇人の担任四人で話している。
「いやあ、昨日は本校の児童を守っていただきましてありがとうございました。担任からうかがっておりますが、ほんとにありがたいと思っております」
 校長が白宮と荒川に頭を下げると、勇人の担任もいっしょに下げた。白宮と荒川は顔を見合わせた。どうも単純に感謝されているふうではない。校長が言いにくそうに続ける。
「最初は船の遊具を作っていただくお願いをしただけだったのに、指導にまでお力そえいただいて、たいへんありがたいのですが……。子ども達を事件に巻き込むことはさけたいので、」
 校長はそこまで言って、白宮と荒川の顔を見た。「状況をさっして、もう来ないでほしい」と目が語っていた。
「ぼくたちが、子ども達を事件に巻き込んだとおっしゃるんですか?」
 荒川が立ち上がった。声が震えている。白宮もじっと校長をそして勇人の担任を見た。担任はうつむいて唇を噛んでいる。
「いえ、先ほども申しましたように、お二人には感謝しております。ですから、今日までお願いしてきましたが、じつは今朝警察から電話が来ました。まあうまくかわしましたが、そう言うのは、学校としては困るわけです」
 校長はそう言って、立ち上がり深く頭を下げた。
「校長先生。ぼくたちを悪く思うのはかまいません。でも、子ども達のことちゃんと見てくださいよ。『学校で事件を起こされなければいい』とおっしゃっているように聞こえます」
 白宮は荒川を押さえて静かな口調で言った。勇人の担任はうつむいたまま肩をふるわせていた。
「分かりました。船はほとんど出来ていますから、もう引き渡しということで。もう学校へは来ません。子ども達とも関わりは持ちません」
 荒川は席を立った。白宮も校長室を出た。校長と勇人の担任が玄関まで送ってきた。
「これから、どうしよう。早川とかいう子と、勇人のことも心配だし」
 荒川がひとりごとのように言った。
「まあ、あそこまで言ったんだから、学校の中では、勇人は安全でしょう。これから、勇人のお母さんに連絡してしばらくは学校まで迎えにいってもらいましょう。きっとうまくいいきますよ」
 白宮が言ったところで携帯が鳴った。勇人の担任からだった。小さな声で泣きながららしい、声が震えていた。
「白宮さん。さっきはすみませんでした。それから、勇人君と早川君は私が守ります。なんとしても、それと、こんなことお願いできるわけはないんですが、どうかこれまでどおり、勇人君をお願いします」
 担任の電話は一方的話して切れた。どうやら誰かきたらしい。  


Posted by ひらひらヒーラーズ at 13:59Comments(0)

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