2011年12月10日
現代へと続く海の道(仮題)87
「そろそろ、おれの出番かな」
船のまん中あたりにいた荒瀬が立ち上がり、ふところから団子を取り出した。にぎりこぶしくらいある。それを両手でなでてから体を後ろにひねって放り投げた。砲丸投げの感じだった。団子は暗い海の上を飛んで敵船の手前に落ちた。一瞬間をおいて水柱が上がり、敵船がひっくり返った。大声を上げて水主や兵士たちが海に落ちた。もちろん大津の皇子も海に消えた。大きな波が白宮たちの乗った船にとどいた。転覆した船は波にもまれて崩れていった。兵士たちも海に消えていく。
一度静かになった水面がゆっくりと盛りあがってきた。小さな島のようなものが顔を出したと思うと大きな角、真っ赤な目玉が現れて黒い柱が空へ昇っていく。まっ黒な竜だった。大波が来て白宮たちの船も転覆しそうになる。
「みんな心配するな」
船尾にいた村雄が良く通る声で言った。みんな甲板にへばりついている。いつのまにか船室から出てきた香姫が甲板に座りこんだまま竜に手をあわせている。
「大津の皇子よ。なんと悲しい王子よ」
香姫はつぶやいた。
「大津の皇子のやつ。竜に化身したか」
荒瀬がはき出すように言った。竜は空へと昇り、にぶい光を放ちながら山へと飛んでもどってくる。風はくるくると吹く方向を変えて嵐のようにふいた。波が船の何倍もある。
とまどうシロヒトたちをあざ笑うかのように、竜が体を半分水面から出して止まった。
「おおい。瀬戸内の村雄船を頼んだぞ。みんな船から落ちるなよ」
そう声をかけると、シロヒトは荒海に飛び込んだ。抜き手を切って竜に泳ぎよると、胸のうろこにつかまって登りだした。竜は目をむいてにらみ、体をひねりながら空へ昇っていく。シロヒトはロッククライマーのように竜に登っていく。
「あいかわらず、気が短いな。シロヒト」
村雄はかるく笑って船をあやつり竜を追った。
船のまん中あたりにいた荒瀬が立ち上がり、ふところから団子を取り出した。にぎりこぶしくらいある。それを両手でなでてから体を後ろにひねって放り投げた。砲丸投げの感じだった。団子は暗い海の上を飛んで敵船の手前に落ちた。一瞬間をおいて水柱が上がり、敵船がひっくり返った。大声を上げて水主や兵士たちが海に落ちた。もちろん大津の皇子も海に消えた。大きな波が白宮たちの乗った船にとどいた。転覆した船は波にもまれて崩れていった。兵士たちも海に消えていく。
一度静かになった水面がゆっくりと盛りあがってきた。小さな島のようなものが顔を出したと思うと大きな角、真っ赤な目玉が現れて黒い柱が空へ昇っていく。まっ黒な竜だった。大波が来て白宮たちの船も転覆しそうになる。
「みんな心配するな」
船尾にいた村雄が良く通る声で言った。みんな甲板にへばりついている。いつのまにか船室から出てきた香姫が甲板に座りこんだまま竜に手をあわせている。
「大津の皇子よ。なんと悲しい王子よ」
香姫はつぶやいた。
「大津の皇子のやつ。竜に化身したか」
荒瀬がはき出すように言った。竜は空へと昇り、にぶい光を放ちながら山へと飛んでもどってくる。風はくるくると吹く方向を変えて嵐のようにふいた。波が船の何倍もある。
とまどうシロヒトたちをあざ笑うかのように、竜が体を半分水面から出して止まった。
「おおい。瀬戸内の村雄船を頼んだぞ。みんな船から落ちるなよ」
そう声をかけると、シロヒトは荒海に飛び込んだ。抜き手を切って竜に泳ぎよると、胸のうろこにつかまって登りだした。竜は目をむいてにらみ、体をひねりながら空へ昇っていく。シロヒトはロッククライマーのように竜に登っていく。
「あいかわらず、気が短いな。シロヒト」
村雄はかるく笑って船をあやつり竜を追った。
Posted by ひらひらヒーラーズ at
08:51
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