2011年06月06日

友引ツーリングくらぶ(飛鳥の里)

「おもしろそうだね」
 藤原は子どものみたいな顔になった。
「でも、三河の国は、四神とかいうので守られているんでしょう。玄武とかなんとかいう」
 康平はちょっといらついた。藤原がおもしろ半分に首をつっこんでくるように思えたのだ。
「ごめん。ふざけているんじゃない。ちょっと思い出したんだ。康平は大和三山って聞いたことがあるかな?」
「大和三山?」
 康平は口の中でくりかえしながら、三河の山を思い出していた。石巻山、本宮山、鳳来寺山とスライドショーみたいに頭の中に浮かんだ。
「飛鳥の北の方に、藤原京ってのがあって、これって、平城京へうつる前の都なんだけど、この都を囲むように畝傍山、耳成山、香具山っていう三つの山が囲んで都を守っていたんだ」
 藤原は四神の話の時のようにテーブルにナプキンやソースの瓶をおいた。
「ぼくの地元にも、石巻山、本宮山、鳳来寺山っていう三つの山があります。おもしろいのは、石巻山と本宮山が背比べしたって伝説があって、毎年夏至の朝になると今でも雨どいをかけて高さをくらべるって言うんです」
 康平はテーブルのしょうゆ瓶を指でさしてソースの瓶まで動かした。
「おもしろいねえ。大和三山はねえ香具山と耳成山が畝傍山をとりあってケンカしたって言うんだ。『香具山は 畝傍おおしと 耳成と 相争いき 神世よりそうにあるらし 古もうつせみも 妻をあらそうらし』って万葉集にも残っているんだ」
 藤原はちょっと自慢げな顔になった。
「でも藤原さん。三河の三山もすごいでしょ。今でも背比べしているんです」
 康平は言った。藤原はうなずいた。そして口を開いた。
「たぶん。今でも山の霊力が守っているんだ。きっと」
「藤原さん。今度、藤原京へ連れてってください」
 康平は言って藤原がうなずいた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:59│Comments(0)
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