2011年06月14日

友引ツーリングくらぶ(鏡岩2)

「たたられるって、穏やかじゃないよね」
 藤原は声がうわずっている。康平の方はもうなれっこになっていた。
「もう、ぼくたちの町はたたられているんです。それに怨霊は自分からたたりますなんて教えてくれません」
 康平は言いながら、鏡岩のまわりを歩いた。岩の周囲2mくらい草が刈ってあるのか他より短い。
「誰かが手入れしているんですね。草も刈って。そうだ、山を下りたところに資料館があったでしょう。聞いてみます」
 康平は言って山を下りはじめた。藤原があわてて後を追った。
「すみません。ちょっと教えてもらっていいですか?」
 ふもとの資料館受付で、康平は鏡岩のことを聞いていみた。受付にいた男はにやりと笑って低い声を出した。
「あんたもたたれられたかね」
 言いながら、幽霊のまねか両手を胸の前でだらりと見せた。
「さわっていませんよ」
 後ろから藤原が言った。男は笑いながら手を広げた。
「心配いらんよ。あれは村で管理しておる岩でね。たたりなんかしない。だけど、ああして書いておけば勝手にさわる人もへるだろう」
「勝手にさわると困るんですか? あの岩。どういう岩なんです?」
 康平が聞いた。
「あれはなあ、ふだんはただの岩だが、一年に一度、夏至の日だけ、当たった朝日が反射する、耳成山へ向かってな。耳成山にも同じような石があってね。ここから行った光が反射して今度は畝傍山へ行く。それがまた香具山へもどる。つまり、光の三角形が、藤原京をつつむんだ。それが大和三山の結界だ。岩の角度を変えたり、削れたりしたら光が飛ばなくなる」
 男は写真を出した。三つの山の間が光の帯でむすばれている。それを見て康平が声を上げた。
「ぼくの地元で、夏至の朝見る背比べだ」
 藤原がふしぎそうに康平を見た。
「三河三山の石巻山と本宮山が夏至の朝、背比べをするって伝説があるんです。山の頂上に雨どいをかけて水を流すってっていうんですが、子どものころ一度みたことがあります。こんな感じの光でした」
「そう言えば、さっき、鏡岩を見たとき康平言ってたな。石巻山によく似た岩があるって、ダイダラボッチの足跡って言われているって」
 藤原が口をはさんだ。康平は豊川の村鬼に電話した。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:06│Comments(0)
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