2011年06月25日

友引ツーリングくらぶ(なみだ石)

「梨花ちゃん」
 思わず康平は梨花の肩をだいた。やわらかい波のようなものが伝わってくる。やっぱり携帯やスカイプとはちがう。梨花も康平の背中に手を回した。村鬼としらみやは呆れた顔で見ていた。
「梨花ちゃん。青い石はまだ持ってる?」
 腕を放した康平が聞いた。梨花はポケットから石を出した。
「それ、もしかしたら、豊川のほとりに埋まってた石かも知れない。このまえ電話で話したよね。『みずのえのサルがサムライになる』って言ういつか見た夢の話。1992年になるらしい。そのときに、ここの前の土を学校へ運んだんだって」
 康平がそこまで言うと梨花の目が輝いた。
「ふしぎ。石が熱くなってきた。震えているみたい」
 梨花は石を持つ手のひらを広げた。
「もしかしたら、草砥鹿姫が埋めた石かも知れないね」
 梨花の石をしらみやと村鬼がのぞきこんだ。
「これか」
 村鬼がため息をもらした。康平がふしぎそうに顔を見ると村鬼はにやりとした。
「まちがいない。草砥鹿姫の涙石だ」
「なみだ石?」
 しらみやが口の中でくりかえした。
「そう。1300年前に、都から来た使者と恋に落ちた草砥鹿姫が相手を思って流した涙が石になったのを、彼女が亡くなったときに、まわりの人が豊川沿いに埋めたんだ」
 村鬼はいとおしそうに言った。
「草砥鹿? 私の苗字。私の先祖ってこと?」
 梨花が聞いた。そのことばに村鬼は首をふって人差指を梨花につきだした。
「草砥鹿梨花さん。あんたの前世だ。そして、この康平とか言う青年は苗字を高市というらしいな。この青年と『二見の歌』を歌うために生まれてきたんだ」
 村鬼はそう言って大きなくしゃみをした。

 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:49│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。