2011年07月04日
友引ツーリングくらぶ(深い愛2)
「山の中は、バイクや車は入れないよね。ぼく、歩いて追っていくよ」
クロヒトが草砥鹿姫に言った。バイクと車のライト以外は明かりがない。草砥鹿姫はクロヒトを見て首をふった。
「待ちな。ヌエは明かりに弱いから、俺たちから逃げて行ったんだ。ライトもなしで行ったら食いつかれるぞ」
海王丸が車の中から、懐中電灯を出して渡した。クロヒトは受け取って道路脇の山に入って行った。ヌエが消えた方に向かってライトで照らしながら草をかきわけていく。
「クロヒト。一人で大丈夫?」
道路の方から、草砥鹿姫の声が聞こえた。
「こっちは大丈夫だから、先に公園に行ってて」
クロヒトが大声で返すと、しばらくしてエンジンのかかる音がして走っていったのが分かった。
まわりをライトで照らしてみると、木の枝と葉がやみに浮かんでくる。風が木を揺らす音以外聞こえるのは自分の足音と息の音だけだった。クロヒトは足下と上を照らしながら進んだ。
1時間ほどしただろうか。はっきりとは分からないが、最初に草砥鹿姫たちと吊り橋を渡った公園の近くまで来ただろうか。
「クロヒト。気をつけて。近くにヌエがいる」
草砥鹿姫の声が聞こえた。耳からではなく、頭の芯の方からだった。クロヒトは身がまえてライトをまわした。低い位置には生き物の気配はなかった。上の方を照らしても何もいない。少し安心して公園へ向かおうとしたその時、斜め後ろでがさりと音がして空気が動いた。何かがすぐ横を通り獣のにおいだけが後に残った。
「うわあ」
思わず叫んで知りもちをついてしまった。音は近づいてきて、ライトを向けると3mくらい先にサルの顔トラの足の化け物がいた。化け物はライトに照らされると身をかわした。クロヒトは音のする方にライトを向けた。さっきより近い位置にいた。
「草砥鹿姫。海王丸。助けて」
クロヒトは叫び声をあげた。
「クロヒト。もうちょっとがんばって。今助けにいく」
草砥鹿姫の頭の奥に響いた。今度も耳からではない。クロヒトはライトで照らしながら後ずさりしていくが、時が過ぎるごとにヌエとの距離は縮まってくる。手をのばせば届きそうなところまで来ると、ヌエはライトをあたえられても体を反らすだけで逃げようとはしない。それどころか、すきを見て飛びかかろうとする。なんどか危ないところで身をかわした。3度目にかわした時に懐中電灯を落としてしまった。
クロヒトは思わずしゃがみこみ叫んだ。
「助けてくれ~」
その瞬間、いくつものライトがクロヒトを包んだ。エンジンの音もいくつか聞こえた。一つのエンジン音は山の中にはいり、クロヒトを後ろから照らした。
「悪かったなあ。遅くなって。おれのバイクはオフロード仕様だ」
白宮住職のバイクが山の中でヌエを追い回し、公園へと追い出した。クロヒトはやっと人心地がついて公園へ出ていった。
白宮住職と草砥鹿姫がバイクでヌエを追い回していた。海王丸はオープンカーのシートに立って指示していた。
クロヒトが草砥鹿姫に言った。バイクと車のライト以外は明かりがない。草砥鹿姫はクロヒトを見て首をふった。
「待ちな。ヌエは明かりに弱いから、俺たちから逃げて行ったんだ。ライトもなしで行ったら食いつかれるぞ」
海王丸が車の中から、懐中電灯を出して渡した。クロヒトは受け取って道路脇の山に入って行った。ヌエが消えた方に向かってライトで照らしながら草をかきわけていく。
「クロヒト。一人で大丈夫?」
道路の方から、草砥鹿姫の声が聞こえた。
「こっちは大丈夫だから、先に公園に行ってて」
クロヒトが大声で返すと、しばらくしてエンジンのかかる音がして走っていったのが分かった。
まわりをライトで照らしてみると、木の枝と葉がやみに浮かんでくる。風が木を揺らす音以外聞こえるのは自分の足音と息の音だけだった。クロヒトは足下と上を照らしながら進んだ。
1時間ほどしただろうか。はっきりとは分からないが、最初に草砥鹿姫たちと吊り橋を渡った公園の近くまで来ただろうか。
「クロヒト。気をつけて。近くにヌエがいる」
草砥鹿姫の声が聞こえた。耳からではなく、頭の芯の方からだった。クロヒトは身がまえてライトをまわした。低い位置には生き物の気配はなかった。上の方を照らしても何もいない。少し安心して公園へ向かおうとしたその時、斜め後ろでがさりと音がして空気が動いた。何かがすぐ横を通り獣のにおいだけが後に残った。
「うわあ」
思わず叫んで知りもちをついてしまった。音は近づいてきて、ライトを向けると3mくらい先にサルの顔トラの足の化け物がいた。化け物はライトに照らされると身をかわした。クロヒトは音のする方にライトを向けた。さっきより近い位置にいた。
「草砥鹿姫。海王丸。助けて」
クロヒトは叫び声をあげた。
「クロヒト。もうちょっとがんばって。今助けにいく」
草砥鹿姫の頭の奥に響いた。今度も耳からではない。クロヒトはライトで照らしながら後ずさりしていくが、時が過ぎるごとにヌエとの距離は縮まってくる。手をのばせば届きそうなところまで来ると、ヌエはライトをあたえられても体を反らすだけで逃げようとはしない。それどころか、すきを見て飛びかかろうとする。なんどか危ないところで身をかわした。3度目にかわした時に懐中電灯を落としてしまった。
クロヒトは思わずしゃがみこみ叫んだ。
「助けてくれ~」
その瞬間、いくつものライトがクロヒトを包んだ。エンジンの音もいくつか聞こえた。一つのエンジン音は山の中にはいり、クロヒトを後ろから照らした。
「悪かったなあ。遅くなって。おれのバイクはオフロード仕様だ」
白宮住職のバイクが山の中でヌエを追い回し、公園へと追い出した。クロヒトはやっと人心地がついて公園へ出ていった。
白宮住職と草砥鹿姫がバイクでヌエを追い回していた。海王丸はオープンカーのシートに立って指示していた。
Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:16│Comments(0)