2011年07月15日
海の道(仮題)3
大津の皇子は日が暮れる前に亀島についた。
「頭領、お帰り。今日はいつもより遅いな。香り姫とイサミが心配するぞ」
島の船着き場ですれ違った男がなんの疑いも持たずに声をかけた。香り姫が妻、イサミというのは息子の名前だろうか。大津の皇子は頭において、粗末な家がならんでいる坂を登った。
「あなた。お帰りなさい。イサミが待ってますよ」
一軒の家から、色の白い女が出てきた。大津の皇子は笑いもせずにうなずき家に入った。5.6才の男の子が出てきた。大津の皇子は一瞬顔を見た。それから黙って飯を食い、酒を飲んだ。
「明日の朝、早いから今夜はもう寝る。にぎりめしと着がえを用意しておいてくれ」
大津の皇子はそう言って寝てしまった。
明くる日、まだ明るくならないうちに目をさました大津の皇子は、香り姫が用意したにぎりめしと着がえを持って船着き場に行った。誰にも会うことはなかった。
「ふう。これで東の国へぬければ、こっちのもんだ」
船を出しながら、ひとりごとを言った。月明かりたよりに東をめざして進んだ。外海に出ると帆をはって風におされて進んだ。空は東から水色にかわり回りも見渡せるようになっていった。
ここまでは何もかもうまく行っていると思った。その時、船がへんな横揺れをした。魚を入れるために作ってある生け簀から音がして男の子が現れた。頭領の息子イサミだった。
「おまえ。父ちゃんじゃないな。父ちゃんをどこへやった」
イサミは小刀を持って襲いかかってきた。大津の皇子は身をかわすと楽々イサミの手首をつかんだ。
「かわいそうだが、お前も死んでもらう。恨むでないぞ」
そう言って、イサミを海に放り投げた。イサミは波の間に消えていった。
「頭領、お帰り。今日はいつもより遅いな。香り姫とイサミが心配するぞ」
島の船着き場ですれ違った男がなんの疑いも持たずに声をかけた。香り姫が妻、イサミというのは息子の名前だろうか。大津の皇子は頭において、粗末な家がならんでいる坂を登った。
「あなた。お帰りなさい。イサミが待ってますよ」
一軒の家から、色の白い女が出てきた。大津の皇子は笑いもせずにうなずき家に入った。5.6才の男の子が出てきた。大津の皇子は一瞬顔を見た。それから黙って飯を食い、酒を飲んだ。
「明日の朝、早いから今夜はもう寝る。にぎりめしと着がえを用意しておいてくれ」
大津の皇子はそう言って寝てしまった。
明くる日、まだ明るくならないうちに目をさました大津の皇子は、香り姫が用意したにぎりめしと着がえを持って船着き場に行った。誰にも会うことはなかった。
「ふう。これで東の国へぬければ、こっちのもんだ」
船を出しながら、ひとりごとを言った。月明かりたよりに東をめざして進んだ。外海に出ると帆をはって風におされて進んだ。空は東から水色にかわり回りも見渡せるようになっていった。
ここまでは何もかもうまく行っていると思った。その時、船がへんな横揺れをした。魚を入れるために作ってある生け簀から音がして男の子が現れた。頭領の息子イサミだった。
「おまえ。父ちゃんじゃないな。父ちゃんをどこへやった」
イサミは小刀を持って襲いかかってきた。大津の皇子は身をかわすと楽々イサミの手首をつかんだ。
「かわいそうだが、お前も死んでもらう。恨むでないぞ」
そう言って、イサミを海に放り投げた。イサミは波の間に消えていった。
Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:35│Comments(0)