2011年08月08日

海の道(仮題)19

「村国。その者たちに船を寄せてくれぬか」
 麻績の王が海を見ながら言った。波の間に水主たちが浮いている。
「やつらから、なにか聞き出すんですか」
 村国が船をあやつっている横で、シロヒトが聞いた。
「いや、なに、溺れては気の毒だからの」
 麻績の王は言いながら手を伸ばす。一人を船縁につかまらせた。続いて何人かを船縁に寄せて転覆した船まで運んだ。
「ここにつかまっておれば、仲間の船が助けにくるだろう」
 麻績の王が言って、村国はうなずいた。
「私たちは、合図の仲立ちです」
 船にしがみついた水主が叫んだ。麻績の王に向かって続ける。
「不破の関を押さえたことを、鳥羽にいる大津の皇子様に伝えていたのです」
 水主が言い終わったところで、南にいた漁船から矢が飛んできてきて、水主の背中から貫いた。続いて、何本も矢が飛んできた。麻績の王達は一度沖へ逃げた。そして、鳥羽へと向かった。
 鳥羽の沖合には何隻も船が泊まっていた。20隻以上もいるだろうか。皆、船上で弓をかまえている。村国は答志島の島影から船を回し、船団近づいた。麻績の王の合図で荒瀬が火薬を投げる。50mほど離れた船の横で水柱が上がった。何隻かはひっくり返り、船の上で転げまわる者もいた。落ちついたところであたりを見まわすが、麻績の王達の船はもう島影に隠れた後だった。そのうちに、仲間の船同士でけんかが始まった。仲間同士で弓を引き合っている。
 麻績の王達は島影からその様子を見ていた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:11│Comments(0)
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