2011年08月25日

現代へと続く海の道(仮題)9

 荒川は地図を持ってきて机に広げた。伊勢湾を中心に三重の海岸線と師崎、それに渥美半島の先端入ったものだった。
「ここが神島だよな。ここが伊良湖水道だ」
 荒川は伊良湖岬と神島の間を指さした。白宮が顔を近づける。そして首をかしげた。
「思ったより、伊良湖岬と伊勢は近いんですね。海を渡ると。でもなあ、なんでここにシルクロードを通ってきた財宝があるんだろう」
 荒川がにやりと笑う。
「伊勢が近いってことはな、山を越えれば奈良の都だ。そいで、奈良の薬師寺にはシルクロードを渡って来た宝物がいっぱいあるぞ」
 荒川は地図と白宮を順に見た。
「あっ。そうか。それに、ここ伊勢湾から出ていく船はみんな通るんですね」
 白宮は伊良湖水道を指でなぞった。
「その島のまわりは渦を巻いて、今でも海上の難所なんだ。だから昔の海賊達は財宝を奪うばかりでなく海の道案内をしたり、難破した船を助けたりしていたんだ」
「なんか、伊良湖岬のイメージも海賊のイメージも変わってきました」
 白宮が言うと、荒川は深くうなずいた。それからパソコン前に行き白宮を手招きした。
「これがイメージだ」
 パソコンの画面には木造の帆船が描いてあった。船の後ろにはごつい顔の男が舵をにぎっている。真ん中でアゴヒゲの男と若い男が二人立っている。舳先の方に母親らしい女と男の子が立っていて、男の子は弓を引いていた。
「あのう。例のアザがジンジンするんですが」
 白宮は目を輝かせた。荒川はうなずいた。
「昨夜、夢を見たんだ。たぶん、これがおれで、こっちが君だと思う」
 荒川は若い二人の男を指さした。

 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:35│Comments(0)
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