2011年09月17日

現代へと続く海の道(仮題)23

 つぎの授業になった。白宮と荒川は後ろに立っている。子ども達はさわぎこそしないが、気になるのか時々後ろをふりかえった。白宮は苦笑いし、荒川は手で鉄砲の形にして打つまねをする。算数の時間である。分数の足し算を復習していた。黒板には五分の三+四分の三と書いてある。
「白宮さん。分数の足し算って、おれ苦手だったな」
 荒川は小声で言った。白宮にほおを上げてうなずいた。そのとき、ちょうど一番後ろの男の子がふりむいて目があった。「ぼくも」とでも言うようにうなずいた。荒川はニヤリとして手をあげた。先生は迷惑そうな顔をしながら、荒川を手でさした。
「先生。あのう。おれも、子どものころ、分数苦手でした。分母をそろえるために、数字をかけるのって、通分って言うんですよね」
 荒川の言ったことに何人か子どもがうなずいた。先生は教科書を読みあげながら説明をはじめた。そこを荒川がさえぎる。
「ごめん。先生。その説明で分かるような子は、教科書読んだだけで分かるんだ。で、おれの考え言っていいかなあ。五分の三と四分の三だったら、ビルの五階に三つあるお菓子と、四階にあるお菓子をいっしょにするのに、どこかで会うしかないだろ。で、エレベーターがないからかけて行くんだよ」
 荒川は調子にのって前に出て黒板を使って説明した。子ども達何人かはうなずきながらノートに書いた。先生は笑いながら頭をさげた。
 休み時間になると、神崎勇人をつれて「海賊船」に行った。貼ってあるベニヤに木の皮をつけていく。
「荒川さんてすごいです」
 ゆうとが遠慮がちに言った。荒川はうなずいてから小さな声で言った。
「もう、だいじょうぶか」
 ゆうとがうなずいた。
「なんで、いじめられたんだよ」
 白宮がきいた。荒川はいやな顔をした。
「ぼくだけ、ゲームをしなかったから」
「ゲームって、門の前で配ってたやつか」
 白宮が聞いた。
「そう。あれやると、頭が痛くなるんです」
 ゆうとはじっと白宮を見た。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 20:58│Comments(0)
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