2011年09月22日

現代へと続く海の道(26)仮題

 勇人は、週に1回、弓道をならいに行くようになった。師匠の社長の都合を聞いて次の予定を決めていく。白宮と荒川で都合のつく方が送っていった。
「どうだ。最近、いじめられることはないか」
 白宮は送っていく途中で聞いた。勇人はちょっとつまってから答える。
「時々、筆入れなくなったり、机の中に『死ね』ってメモがあったりします」
 言いながらかるく笑った。
「まだ、そんなことがあるのか」
 白宮は、ハンドルを握りながら目を向けた。
「でも、あいつも、追いつめられているから。ああやってつながっていたいんだと思います」
 勇人は遠くを見た。
「一人だけなのか?」
「いえ。あいつがやりだすと、みんなもいっしょにやってきます」
 勇人のことばに、白宮がまたひっかかった。
「なんにも変わってないじゃないか」
 白宮が言うと、勇人がうなずいた。それから続けた。
「でも、前みたいにつらくないです。弓をやるようになってから夢を見るんです。どこかの島だと思うんですが、白宮さんや荒川さんと船に乗っていて、弓をいるんです。で、目がさめるとお腹に力が入るんです。この前、師匠に話したら『丹田』に魂が鎮まったって言ってました」
「そうか。まあ、自分で解決できそうならいいけど」
 中途半端に返事をしながら、勇人の夢の景色をどこかで見たような気がして、白宮はちょっと不思議に思った。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:31│Comments(0)
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