2011年12月26日

居直り天女4

「だけどさあ、なんで和夫がいるの? 旅行?」
 勇一はあたりを見回した。ぼくの家族がいると思ったのだろうか。
「旅行っていうか、宇宙旅行っていうか、散歩かな」
 ぼくはしどろもどろになりながら後ろを振り返った。天女が時々顔を出して指で合図している。ぼくはなにを言われているのか分からずに電柱の方を見た。
「なあ、和夫。あそこにいる女の人誰? さっきから顔を出したり引っ込めたり忙しそうだけど」
 勇一が天女に気づいたらしい。笑いを浮かべて電柱を指差した。
「あっ。あの人はねえ」
 ぼくがどう答えていいか困っていると、電柱から天女が現れた。
「しょうがないわ。ばれちゃったか。自己紹介するわ。私ねえ。天女。空を住みかとする、自分で言うのもなんだけど、まあ、きれいな女。分かった?」
 天女は勇一の前に来て、頭をさげてから首をかしげた。勇一が一歩後ろに引いた。ぼくが最初に会ったときと同じ反応だった。でもそのあとはちょっと違った。
「ええっ? 本当に天女さんですか? すごい。ほんときれいですね」
 勇一のことばに、天女のほおがゆるんだ。
「あなた。なかなか良い子ねえ。気に入った。けっこう良い男だし。じゃあねえ、お近づきのしるしになにか食べにいこう」
 天女の勇一を見る目が変わった。
「でも、お金ないよ」
 ぼくが言った。天女がぼくと勇一を見てうなずいた。それから自分の胸をたたいた。
「ごちそうしてくれるってこと?」
 勇一が聞いて、天女が首をふった。ぼくたちが顔をのぞきこむ。
「かせぐのよ。私たち三人で」
 天女がきっぱり言った。そして、ぼくの部屋でしたみたいに両手を広げた。天女にせかされて二人背中に乗ると舞い上がって雲の上に出た。
「ねえ、今度はどこへいくの?」
 ぼくが聞いた。勇一は下に広がる景色から目が離せないらしい。
「ハワイへいきましょう。そこで私がショーをするから二人はクラウンになって」
 天女はハワイへとぼくたちを乗せた飛んだ。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:54│Comments(0)
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