2011年12月27日

居直り天女5

 天女はぼくたちを乗せて海の上を飛んだ。いくつか島を越えてハワイの砂浜に降り立った。ビーチパラソルがならんで、大人や子どもが泳いだり砂浜を走ったりしている。乾いた風がふいてサーファーが沖合の波からせまってくる。天女の羽衣や派手な着物のすそが風になびいた。外国人達が集まってくる。
「皆様、はじまして。私たちは、日の本のやまとの国からやってまいりました。マホロバサーカス団です」
 天女は笑顔を浮かべて頭をさげると、ふわりと舞い上がった。波打ち際を飛び回ってぼくたちのところにもどった。ぼくたちは天女に押さえられて頭を下げた。集まった人たちから拍手が起こった。ちょっといい気分だ。
「次はこの少年が宙返りをご覧にいれます」
 天女が右手を伸ばしてぼくを紹介した。
「ええ? 宙返りなんかできないよ」
 ぼくは小声でささやいた。天女は小さくうなずいてウィンクした。そして、ぼくの答えも聞かずに両足をはらった。後ろにたおれそうになって、思わず上半身を前に倒すとその背中を両手でポーンと押した。ぼくの体は宙に浮いて回ったらしい。熱い空気が通りぬけて空と海がくるくる回った。遊園地の回転コースターなんか問題じゃないほど目が回ってから地上に降りた。
 すごい拍手がぼくを待っていた。
「和夫。すごいじゃないか」
 勇一が握手を求めてきた。
「さあ、続いては、空中ダンスです」
 天女が言って、勇一に両手両足を広げて立たせた。漢字の「大」の字のまま脇の下に両手を入れて舞い上がった。五mほど上がったところで、空に放り上げた。空に上がったところで天女が合図すると、それにあわせて勇一はフィギアスケートのキャメルの形をした。人々から拍手が起こる。そのあとは体を伸ばして回転しながら落ちてくる。頭から落ちる寸前に天女が舞い寄って抱き留めた。そのまま体勢をなおして空に上がっていく。
 いつの間にか数え切れないほどの人が集まっていた。天女は見物人の帽子を借りて人々の間を飛んでまわった。みんなコインを入れてくれた。集まったコインを砂浜において帽子を返すと天女は頭を下げた。今度はぼくと勇一も自分から下げた。
「これで、お昼食べられるね」
 天女が言って、海辺のレストランに入った。ぼくはハンバーガーセットを、勇一はチキンバスケットを、天女はステーキセットを食べた」
 お腹がふくれたところでぼくたちは空へ舞い上がった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 10:53│Comments(0)
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