2011年12月30日

居直り天女7

 海を見下ろして飛びながら勇一が何か言った。風が強くて聞こえない。
「勇一。なにか言った?」
 ぼくはちょっと大きな声になった。
「和夫。学校楽しいか?」
 勇一が大きな声を出したので、天女がちょっとふり向いた。
「楽しくないよ。勇一が転校してから、友だちといてもつまんない」
 ぼくは答えながら裕子のことを思いだした。勇一が転校する前、ぼくと勇一と裕子は3人で遊んでいた。授業の発表なんかもよくグループになったし、休みの日も3人で豊橋に遊びにいったりした。
 勇一がいなくなって、裕子といるのもなんか気まずくなった。そうしたら、他の友だちといるのもつまらなくなってきた。
「裕子と遊びにいったりしないのか?」
 ちょっと間をおいて、勇一が聞いた。また、天女の首がちょっと動いた気がした。
「女子と二人で遊ぶのもなんか、ちょっといやだし」
 ぼくが答えたところで大陸が下に見えてきた。だんだん飛んでいる高さが下がっていく。ジャングルを越えて、高地の砂漠に出た。
「ほら、あれ」
 天女が指さした先に、鳥の絵が見えた。今にも舞い上がって行きそうだ。
「すごい。あれを昔の人が書いたんだ」
 勇一が驚きの声を上げた。ぼくは声も出なかった。しばらく上空を飛んで、いくつかの絵を見た。
「ねえ、書いた人の気分を味わってみない?」
 天女が言って高度を下げた。2mくらい上から線をなぞるように飛んでいく。なんだか目が回るだけで、絵を書いている感じはしない。
「ねえ、感じつかめない」
 ぼくが言ったら、天女はうなずいて勇一を地面に下ろした。線の上を歩くように行って舞い上がった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 10:09│Comments(0)
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