2012年01月04日

居直り天女11

 ぼくたちは、裕子の家の上空で待っていた。夕陽がななめに照らしている。勇一は胸をなでている。
「あっ。女の子が出てきたよ。あの子じゃない?」
 天女が指をさす。裕子がそろばんのバッグを持って家から出てくるのが見えた。勇一は胸をなでてつばをのみこんだらしい。
 天女は建物のかげに舞い降りた。立ちつくしている勇一の背中をおした。ぼくたちはこっそりと見ている。
「あれ? 勇一じゃない。なんでここにいるの?」
 裕子が立ち止まった。ぼくたちから顔は見えなかったけど、勇一が泣きそうな顔で見ているらしい。裕子が心配そうな顔で覗き込んでいる。
「裕子。ぼく、きみに会うために北海道から来たんだ。ぼく北海道へ行って分かった。裕子が好きだ。世界で一番好きだ」
 勇一の前で裕子が困った顔をしているのが見えた。勇一が気の毒とは思いながら、ちょっとホッとしている自分がいた。天女はぼくの顔を見てにやりとした。
「今度は、あなたの番よ」
 天女はぼくの背中を押した。ぼくはふらふらしながら裕子の前に出た。裕子は目を丸くしている。
「ごめん。勇一のこと、ぼくが連れてきたんだ。ぼくも勇一も裕子のこと、友だちとしか見てなかったけど、やっぱり、違うみたい。ぼくも裕子のこと好きだ。世界一」
 ぼくが言ったら、裕子はコワイ顔をした。
「もう、どういうつもり? 二人とも、私は良い友だちとしか思ってないよ。へんなこと言わないでよ」
 裕子は怒って行ってしまった。ぼくは胸がきゅんとなった。
「ふられたか。二人とも」
 天女の声がして振向くと直ぐ後ろにいた。ぼくは背中に乗った。前には勇一が乗っている。
「大人だとねえ、こんな時やけ酒なんだけど、お酒はまだ早いよねえ。じゃあ、お風呂で行こうか。本宮の湯なんかどう」
 天女が言ってぼくたちはうなずいた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:33│Comments(0)
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