2012年01月08日

居直り天女12

 ぼくたちは、本宮の湯をめざして飛んだ。夕陽が三河湾に落ちていく。
「やっぱりいいなあ。豊川は」
 勇一がポツリと言った。
「だけど、こんなふうに夕陽を見られるってすごいね」
 ぼくが答えた。風が気持ちよくなでていく。
「だけど、天女さんはどうして、こんなに色々してくれるんだ?」
 勇一が天女の頭に目をやった。天女がちょっと動いた気がした。ぼくは気にせずに答える。
「ぼくが、プールでタオルと羽衣をまちがえたんだ。で天女が羽衣を取り返しにきて、返してあげたお礼なんだ」
「ふうん。そうか」
 勇一が中途半端に返事したところで本宮の湯についた。夕陽は半分海に消えていた。
「さあ。ついたよ。本宮の湯」
 天女がホバリングしながらふりむいた。ぼくはポケットを探った。ハワイで稼いだお金が残っていたがドルだ。ほかにお金はもってない。勇一も手持ちはないらしい。
「お金なら心配しないで。露天風呂の上まで行くから、私の背中で服脱いだらそのまま飛び込めばいい」
 天女は露天風呂の上でホバリングした。ぼくたちは裸になって飛び込んだ。
「最高だな」
「いいよ。ゆめみたいだ」
 ぼくたちが良い気持ちで風呂に入っていると、天女が上に飛んできた。にやにやしながら何か言っている。
「聞こえないよ」
 ぼくが言うと、天女はすぐ上まで降りてきた。
「あのね。まえも言ったけど、私って性格きちんとしてるんだ。恩も返すけど、うらみもちゃんとはらすからね。羽衣返してもらった返したけど、今度は間違えてもっていった恨みのほうね」
 天女はぼくたちの頭の上を飛びながらイヤな笑いをうかべた。
 ぼくと勇一は顔を見合わせた。
「じゃあね、服もらっていくね。元気でね~」
 天女は見る見る間に空へ消えて行った。

 居直り天女 完




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:51│Comments(0)
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