2012年02月01日

青い炎を灯せ15

 あくる朝、明江が目をさますと女官が二人着がえを持って待っていた。聞くと天皇はもう大極殿で会議をしているらしい。なんでも日の出とともに大臣たちが集まってくるらしい。
 明江は法華寺へ向かおうと外に出た。小さな神社の前に白い建物が見える。玉砂利をしいた池に張り出した花道みたいな廊下がある。いっしょに来た女官に聞くといぶかしそうな顔で「東院でございます」と答えた。明江は笑ってごまかした。こんなことなら、21世紀にいる間にもっと歴史を勉強しておくんだったと思った。
「光明子さま。おはようございます」
 法華寺につくと、三河丸が現れた。
「ねえ。三河丸。ちょっと頼みがあるんだけど。男物の着る物を用意してくれない? 出来るだけ目立たないのがいいな。でもあんまり汚くないやつ」
 明江の言葉に、三河丸はいっしゅん不思議そうな顔をしたがうなずいた。東大寺へとつながる大路に向かって歩いていった。
 明江は尼達といっしょに炊き出しの準備を始めた。噂が広がったのか朝からどんどん人が集まってくる。
「光明子さま。もうおいででしたか」
 あくびをしながら舎人の親王が現れたのは、日がだいぶ高くなってからだった。明江があいさつを返していると、三河丸が帰ってきた。
「光明子さま。こんなのでどうでしょう」
 三河丸は黒い着物を持ってきた。身分の低い坊主の着る墨染めの衣らしい。
「東大寺の若い坊主に古い着物をゆずってもらいました」
「ありがとう。いい感じ」
 明江は着物を受け取ると舎人の親王を見た。
「もう。会議は終わった? じゃあ、聖涼殿にいらっしゃるのね。天子さま」
 舎人の親王が答える間をなく、明江は聖涼殿にもどった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:11│Comments(0)
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