2012年02月04日
青い炎を灯せ18
夕方になると、二人は法華寺をあとにして清涼殿に向かった。後ろから人が走って来る音がして三河丸が二人に追いついた。
「光明子さま。そちらは?」
三河丸は遠慮なく声をかけてきた。明江の肩がびくっと震えた。ふり向くと三河丸が一歩下がっていた。明江がよほど怖い顔をしていたのだろう。
「びっくりさせたねえ。ごめんなさい。こちらは熊野で修行されていたお坊さんで、ギョウキさまです」
明江が言うと、編み笠が動いた。三河丸が笠の中をのぞこうとするのを明江が止めた。ごまかすべく話をかえる。
「ねえ、舎人の親王は? どうした」
「なんかねえ、偉い人と会っているみたいです。『日本書紀』とかいう本を書いているらしいんですが、もうすぐ出来上がりってところで、なんか怨霊に邪魔されるって言ってました」
三河丸がそこまで言うと、天皇の編み笠が小刻みに揺れだした。肩も揺れたかと思うとしゃがみこんでしまった。
「あれ? お坊さん。ギョウキさまだっけ? どうかしました? 気分でも悪いんですか」
三河丸が心配してのぞきこむ。明江が天皇の背中をなでる。2.3度背中をなでながら耳元でささやいた。
「天子様。この光明子がついています。怨霊なんか怖くありません」
明江の声で、天皇は編み笠をとり顔を上げた。
「今? なんとおっしゃいました? 天子様?」
三河丸が声をひっくり返した。それからじっと天皇の顔を見た。
明江が目を見ひらいて三河丸とにらんだ。そして、小さいけれど迫力のある声で言った。
「三河丸。大きな声をだすとねえ。首をひねるよ。天子様はねえ、国を良くするために、人々の声を聞いて回ってるの。邪魔しないで」
明江は三河丸の口に人さし指をあてた。三河丸はうなずいた。
「大津の皇子の怨霊です。私の父を恨んでいるのです」
天皇は明江と三河丸を見てから、心を決めたようにうないずいた。
「光明子さま。そちらは?」
三河丸は遠慮なく声をかけてきた。明江の肩がびくっと震えた。ふり向くと三河丸が一歩下がっていた。明江がよほど怖い顔をしていたのだろう。
「びっくりさせたねえ。ごめんなさい。こちらは熊野で修行されていたお坊さんで、ギョウキさまです」
明江が言うと、編み笠が動いた。三河丸が笠の中をのぞこうとするのを明江が止めた。ごまかすべく話をかえる。
「ねえ、舎人の親王は? どうした」
「なんかねえ、偉い人と会っているみたいです。『日本書紀』とかいう本を書いているらしいんですが、もうすぐ出来上がりってところで、なんか怨霊に邪魔されるって言ってました」
三河丸がそこまで言うと、天皇の編み笠が小刻みに揺れだした。肩も揺れたかと思うとしゃがみこんでしまった。
「あれ? お坊さん。ギョウキさまだっけ? どうかしました? 気分でも悪いんですか」
三河丸が心配してのぞきこむ。明江が天皇の背中をなでる。2.3度背中をなでながら耳元でささやいた。
「天子様。この光明子がついています。怨霊なんか怖くありません」
明江の声で、天皇は編み笠をとり顔を上げた。
「今? なんとおっしゃいました? 天子様?」
三河丸が声をひっくり返した。それからじっと天皇の顔を見た。
明江が目を見ひらいて三河丸とにらんだ。そして、小さいけれど迫力のある声で言った。
「三河丸。大きな声をだすとねえ。首をひねるよ。天子様はねえ、国を良くするために、人々の声を聞いて回ってるの。邪魔しないで」
明江は三河丸の口に人さし指をあてた。三河丸はうなずいた。
「大津の皇子の怨霊です。私の父を恨んでいるのです」
天皇は明江と三河丸を見てから、心を決めたようにうないずいた。
Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:27│Comments(0)