2012年05月15日

青い炎を灯せ72

「行基を認めるって、どうすればいい?」
 天皇は落ちついて座り直した。明江は少し考えてから口を開いた。
「鎮護の僧として認め発表するのです」
「でも、ぼくは一人しかいない。ぼくが詔を発してぼくが受けるのか」
 天皇はまた不安顔にもどった。明江はゆっくりとうなずいた。
「大丈夫。天子様。あなたはよく旅行をされる。そして、天子様の留守は長屋の王が代理を務めています。ですから長屋王が詔を読み上げて、僧形の天子様が行基として受ければいい」
 明江の言葉に天皇が明るい顔になった。明江を見てうなずいた。
「分かった。さっそく旅行に出かけよう。どこに行こう」
 天皇は遠足前に子どもみたいな顔になった。明江はなんだか母親か姉のような気持ちになる。
「そうね。どうかしら、伊賀を超えて鈴鹿へでも出かけられたら」
 明江が言うと天皇はうなずいた。明江がうすい笑顔を浮かべた。
「天子様。ほんとに出かけるのではないですよ。信楽の都を出たらすぐにこっそりもどって行基になるのですよ」
 それを聞いて天皇は苦笑いした。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:19│Comments(0)
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