2012年07月16日

青い炎を灯せ98

 少年は瞬きもせずに明江を見た。
「私たち、三人は長屋王様のお邸で、庭の木の手入れをしていました」
 少年が言うと、横で聞いていた三河丸が口をはさんできた。
「三人とも、おれよく知っているんだ。よく、飛火野で野宿してたんだ」
「野宿?」
 明江が驚いて聞き返す。
「そう。おれは皇后様と出会ったときに、舎人の親王さまに拾われたけど、こいつらは法華寺で粥をもらいに行ってて、長屋王様に雇ってもらったんだ」
 三河丸が言うと、少年は身をのりだした。
「二人を助けてくれませんか。あの二人、宇合様に連れていかれる時泣いてました。彼らが長屋王様の困るようなことをいうはずがないです」
 少年が言うと、明江は法華寺からの手紙に目を落とした。
「長屋王は天子様の宝物を法華寺に運んでいたの。宇合兄さんが連れていった証人は泣いていた」
 明江は口の中でくりかえした。そして少年を見た。
「ねえ、一つだけ教えて。長屋王は人を呪う術を使っていたって噂があるけど、ほんとう?」
「そんなこと、絶対にありません。いつもおっしゃっていました。術は人を幸せにするためのものだと」
 少年ははっきりと言った。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 18:06│Comments(0)
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