2012年07月19日

青い炎を灯せ101

「分かった。ありがとう。もう右大臣の所へはもどらなくてよろしい。何かあるといけないから、三河丸と三人で私のそばにいなさい。大丈夫だと分かったら、私が国へ帰らせてあげます」
 明江の言葉に三人は顔を見合わせた。三河丸は。国分寺のことを思いだしたのか、明江を見てにやりとした。
 明江達は、呪文の書かれた木簡を持って唐招提寺に向かった。明江一人が輿に乗り、三人は歩いていく。
 唐招提寺ににつくと、玄奘三蔵が出迎えた。明江がさしだした木簡を丁寧に受け取り目を通していく。
「それは呪いの言葉ですか」
 しばらくたって明江が聞くと、三蔵は目を見ひらいて顔の前で手をヒラヒラさせた。
「呪いだなんてとんでもない。国と民がいやさかに栄えますようにと言う意味の経文です」
 明江は一度つばを飲み込んでから続けて聞いた。
「この経文、もしかして、右大臣がこちらへ持ってきませんでしたか」
「はい、今朝早くおいでになりました。同じことを答えました」
 三蔵の言葉に明江は頭に血が上った。
「兄さんとは言え、許せない」
 明江はそのあと、清涼殿までもどった道をおぼえていない。
 




Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:03│Comments(0)
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