2012年08月19日

青い炎を灯せ118

「それ、ほんとなのか?」
 隣村の男がゆっくりと顔をあげた。ほかの者たちも男を見た。
「ほんとなんだよ。おれも最初は信じられなかった。だけど、荒れ地を切り開いて、水を引くのを教えてくれた」
 都の男が言うことを、相手は半信半疑で聞いていたが、玄奘三蔵が口をはさんだ。
「この人の言うことは本当です。確かに不思議な僧ではありますが、伝える技術は唐のしっかりとしたものです。それだけではありません。行基さんは、人の心に炎を灯していきます」
 三蔵の言い方は素朴だったが、相手の男には響いたらしい。手のひらをじっと見てから仲間に目を向けた。
「信じてみるか」
 まわりの男達もうなずきあった。
「行基さんが来られるまでは、俺たちがなんとかする。だけど、まずは謀反を鎮めよう」
 都の男が言って、隣村の者たちも仲間になった。
 そのとなり村でも、同じようなことが起こった。またその隣でも仲間が増えた。3日ほど進むうちには西に向かう軍勢は万を超えて朝廷が用役として集めた兵の数を超えた。
「昔、唐の国で革命が起こった時と同じです」
 三蔵がポツリと言った。明江は不思議な思いでそれを聞いた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:38│Comments(0)
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