2012年10月02日

さらわれたって屁の河童7

「さっき、風呂場で変な声が聞こえたんだ。水かきのついた手が、出てきた」
 そこまで言うと、ゆうとは逃げだそうとしたけど、腕をつかんで無理やり家に入れた。いっしょに風呂場を見に行ったけど、もう声もしなかったし、カッパの手もなかった。
「なあ、カッパのやつ、どこかで見はっててんだよ。ちゃんと、約束守った方がいいよ」
 ゆうとは部屋の中を見回しながら言った。カーテンのしわまでカッパに見えてくる。トイレにに行くのも、水を飲みにいくのもこわかった。
 けっきょく、母さんが帰るまでゆうとにいてもらった。
 その夜、夢を見た。ビルの屋上にある貯水槽のへりに、カッパが五匹並んで座っている。それぞれ、手に携帯電話とピストルを持っている。そして頭には皿がなかった。
「ワレワレハ モウ ニンゲンタチヲ ユルスワケニハ イカナイ」
 一番大きいカッパが叫んで、他のカッパたちは両手を上げて答えた。一匹がぼくをギロリとにらんだ。ぼくは必死でもがいた。もがくほど、何かがからみついてくる。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 07:13│Comments(0)
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