2012年10月11日

み~んな化け物2

 正夫が言うと、急に部屋が暗くなった気がした。空気がどよ~んとなって、生くさい感じ。正夫の顔だけ青く光って見えた。
「五〇年前から、ずーっと幽霊の小学生やっているのか? 『サザエさん』のカツオみたいなやつだなあ
ぼくが言いかけると、勇一が横から口をはさんでくる。
「だけど、おかしいじゃないか。正夫、おまえ一年生の時から同じクラスだろ、幽霊って成長するのか」
「そのへんが、むつかしいところなんだよ。現代はみんな疑り深くて、リアルでなくちゃだめなんだ。だから、みんなといっしょに一年生として入学して、卒業したらまた一年生からやるんだ」
 正夫が独り言のように言っている間に、どんどん透き通って向こう側の勇一が見えてくる。正夫は続けた。
「ちょっと前までは良かったよ。大人も子どもも想像力が豊かだったからさあ、スリッパ隠したり、理科室の人体標本を動かしてやれば『学校七不思議』とかって騒いでくれたんだからな。今はスリッパ隠したって、探しもせずに新しいの買っちゃうんだから。不思議とか不気味の入り込む余地がない世の中はつらいねえ、幽霊にとっては・・・」
「正夫。なんだかジジくさいぞ。今のいい方」
 ぼくは茶化してやったつもりなのに、正夫はマジメな顔でぼくを見た。
「しょうがないよ。いつもはみんなに合わせて、子どもの振りしているけど、ほんとは勇一や和夫のおじいさんと同じくらいの歳なんだから」
 正夫はそう言って、コホンとせきこんだ。
「言われてみるとさあ、正夫って朝礼の時やなんかに、貧血おこして青い顔してたよな。あれって、血の気が引いてたんじゃなくて、透きとおりはじめていたのか」
 ぼくと勇一は正夫をのぞきこむ。正夫は首を縮めて、消えかかった蛍光灯みたいに透きとおったり現れたりをくりかえした。
「まあ。そういうことだ。ほんとにごめん」
 正夫はまた頭をさげた。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:17│Comments(0)
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