2012年12月30日

ひらひら村の夕陽26

「私は、あなたのことを好きになったわけではありません。でも、息子があなたを大好きであなたが息子のことを思っていることは分かりました。もう、子どもじゃありません。あなたたちは二人で考えてください」
 母親は少しも笑っていなかった。しばらく二人をにらむように見ていたが、思い切ったように席を立った。裕子も後を追って歩き出した。
「ごめんなさい。なんだか変な方へ話が行ってしまって」
 裕子は母親の背中に語りかける。もちろん、腹の中からの声ではない。内心ほっとしているのである。
 振り向いた母親は目に涙をためていたが、頬は上がって自信に満ちた笑顔だった。
「裕子さん。これから時間ある? もしよかったら、もっと化粧を教えてくださらない?」
 これには裕子の方がとまどった。母親に責められる覚悟をしていたから、少し拍子ぬけした感じがする。そんな裕子の顔を見ながら母親が続ける。
「私ねえ、息子を若い女に取られるのが悔しかったんだと思う」




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:35│Comments(0)
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