2013年02月10日

ひらひら村の夕陽36

 裕子はカードをしまい手鏡を出した。じっくりと顔を見つめる。女子大生が残していった言葉がなんども反芻する。
「私は、自分で勝手におばさんになっていた」
 鏡の中に笑いかけると、なんだかそう答える気がした。胸の奥に熱いものがあがってくる。
「あの人にメールしよう」
 裕子は携帯を手にして、いっしょに買い物に行った母親にメールした。
 しばらく待ってみても返信はない。裕子はしびれを切らして電話した。それでも通じなかった。
「これは、一人で行けってことかな」
 独り言を言うと、店をしめ外に出た。思ったより暖かい。うれしくなってショッピングモール行きのバスに乗った。
 窓から流れていく景色を見ながら、急にすぎた昔を思い出した。小学生の息子を迎えに車で走った道、学校の前には子どもたちが集まっていた。それを見ると子どもたちと分かれたころを思い出した。
「私、まだまだ私でいいなあ」
 裕子はポツリと言った。

 ショッピングモールに着くと、化粧室に入ってうがいし口臭がないか確認した。化粧をなおして脇のにおいも確かめた。

 準備万端で、靴売り場に向かった。




Posted by ひらひらヒーラーズ at 09:59│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。