2013年05月12日

ひらひら村の夕陽54

 あくる日、裕子は店を開けるとカードを出した。一日を占っていく。カードを覚えてからの習慣である。
 今の自分のところで、ドラゴンフライが出てきた。トンボが羽化するときの絵が描いてある。
「変化かあ。自分が出て来るんだよねえ」
 自分に言い聞かせるように独り言を言った。
「変わるって、どんなふうに?」
 心の中でもう一人の自分がつぶやいた。苦笑いしながら次のカードを引いていく。願い事の位置になる。
 砂漠のカードが出てきた。インディアンの青年が大人になるために出る旅の絵だった。
「冒険かあ。そうだよね。変化のための冒険ね」
 続いて感じていることを引いてみると、イーグルが出てきた。霊性や自分との対話である。ここで裕子は、15年前に分かれてきた子どもと夫を思い出した。夫とは今さら話すこともないけれど、子どもたちにはきちんと謝りたい。夫のほうはきちんとけんかしてみたい。
 ショッピングセンターの男との話の中でなんだか夫との関係が切なくなってきた。
「今さらだよねえ」
 またつぶやいて、感じていることをめくった。地球に息を吹き込んでいる女神だった。裕子は苦笑いした。

 残りの2枚をめくると、相乗作用のカードとインナーチャイルドが出てきた。
 「まず、動いてみるか」
 裕子は店の看板をしまって着替えた。臨時休業にしたのである。

 バスに乗り、離婚する前にすんでいた町に向かった。



Posted by ひらひらヒーラーズ at 08:17│Comments(0)
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