2012年05月10日
青い炎を灯せ70
「皇后様。私は今朝法華寺でうわさを聞きました。あわてて行ってみると、猿沢の池の東側に五人の首がさらされていました」
清涼殿のうらまで走り込んできた三河丸が興奮して話す。明江はとにかく自分を落ちつかせようと胸を押さえた。気のせいかお腹もグルグル動いている感じがした。
「三河丸。先に飛火野へ行って。私もすぐにいく」
明江はそう告げて奥に入り、女官に輿を用意させた。そしてあわてて天皇に手紙を書いてもらった。五人が殺されたこと。すぐに平城京にもどってほしいこと。それだけ書いてもらい輿にのって出かけた。朱雀大路を南に向かい左に折れるとすぐに猿沢の池に出る。広い野原には野生の鹿が遊んでいる。緑の静けさの中で人だかりが目に入る。
「あそこへ行ってみてください」
明江は人だかりの前までいくと輿をおりて歩いた。人々の声が耳にささってくる。
「今の天子様は何を考えているんだ。病が流行り、人が死んでいるのに、高い税をとって。その税をおさめるために田んぼや畑に水を引いてくれた行基を悪者にして」
そんな言葉があちこちから飛んでくる。ふり向いて、そこに皇后がいることが分かるとあわてて言葉をのみこみ、深く頭を下げた。中には丁寧に言い訳するものまでいた。
「光明皇后様は、ありがたいです。法華寺で何人の人が救われたか」
そんなことを言われて、明江はよけいに傷ついた。
「皇后様。宇合さまです」
明江を遠くから見つけた三河丸が走りよってきた。後ろから宇合が頭をかきながらやってくる。
「光明子。すまん。こいつら、急に暴れ出したんだ」
宇合は笑いながら、サラされている首を指さした。明江は思わず右手をふりあげて宇合のほおを張った。
大きな音がして人々がふりかえった。宇合は目を丸くして明江をみた。
清涼殿のうらまで走り込んできた三河丸が興奮して話す。明江はとにかく自分を落ちつかせようと胸を押さえた。気のせいかお腹もグルグル動いている感じがした。
「三河丸。先に飛火野へ行って。私もすぐにいく」
明江はそう告げて奥に入り、女官に輿を用意させた。そしてあわてて天皇に手紙を書いてもらった。五人が殺されたこと。すぐに平城京にもどってほしいこと。それだけ書いてもらい輿にのって出かけた。朱雀大路を南に向かい左に折れるとすぐに猿沢の池に出る。広い野原には野生の鹿が遊んでいる。緑の静けさの中で人だかりが目に入る。
「あそこへ行ってみてください」
明江は人だかりの前までいくと輿をおりて歩いた。人々の声が耳にささってくる。
「今の天子様は何を考えているんだ。病が流行り、人が死んでいるのに、高い税をとって。その税をおさめるために田んぼや畑に水を引いてくれた行基を悪者にして」
そんな言葉があちこちから飛んでくる。ふり向いて、そこに皇后がいることが分かるとあわてて言葉をのみこみ、深く頭を下げた。中には丁寧に言い訳するものまでいた。
「光明皇后様は、ありがたいです。法華寺で何人の人が救われたか」
そんなことを言われて、明江はよけいに傷ついた。
「皇后様。宇合さまです」
明江を遠くから見つけた三河丸が走りよってきた。後ろから宇合が頭をかきながらやってくる。
「光明子。すまん。こいつら、急に暴れ出したんだ」
宇合は笑いながら、サラされている首を指さした。明江は思わず右手をふりあげて宇合のほおを張った。
大きな音がして人々がふりかえった。宇合は目を丸くして明江をみた。
Posted by ひらひらヒーラーズ at
08:49
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