2012年08月23日
青い炎を灯せ122
銅でできた大仏は夕陽のようにかがやいた。天皇も明江もまぶしくて目を細める。
「これで金泊を貼れば、完成だ。みんなのおかげで、予定よりも早く出来た」
天皇はしみじみと見あげた。舎人の親王は静かにうなずいた。そしてつぶやく。
「行基はどうしていますかな。最近現れませんが」
明江は天皇を見て苦笑いした。
「きっと、どこか遠い国で畑を作っているでしょう。最初に現れたのは法華寺の前でしたね」
明江は自分で言いながら、法華寺へ行けば行基に会えるような気がしておかしかった。
「舎人の親王。ちょっと行ってみませんか」
舎人の親王がうなずくと、明江は西へ向かって歩き出した。女官がついて来ようとするのを止めて二人で歩き出す。平城宮に向かう道を歩いていくと小さな山が見えてくる。
「こんな山だったなあ」
明江は独り言を言った。こんな小山からタイムスリップして来たのを思い出した。舎人の親王は椿だったことを憶えていないのか特に反応しない。
二人は歩き続けて法華寺についた。元気のない者たちが尼から粥をもらっている。尼が笑顔で迎えた。
その時に地震が起こった。明江と舎人の親王は本堂に逃げ込んだ。本尊の薬師如来が二人を見下ろしている。明江はしみじみと見あげた。薬師如来が微笑んだ気がした。
「あなたはみごとに炎をともしてくれました。もう、あなたの時代にもどってください。ありがとうございました」
薬師如来がつぶやくと、後光が大きくなりまわりが見えないほどの明るさにつつまれた。明江はすべてを忘れるほどのやわらかさを感じた。このまま死んでしまうのかとさえ思った。
黒いトンネルをぬけて、明るいところで出た。目を開けると尼さんたちが心配そうにのぞきこんでいる。
「あのう。大丈夫ですか?」
尼の一人が声をかけてきた。
「だいじょうぶです」
なんとか答えて、目をあけると自分の姿を見た。奈良時代の衣装ではない。首にはデジタルカメラをぶらさげている。
「あのう。すみませんが、今年は何年になりますか」
明江はおそるおそる聞いた。
「2012年ですよ」
尼さんは不思議そうに答えた。
「すみません。遅くなりました」
法華寺の山門から舎人の親王、いや椿が走りこんできた。
「明江さん。この近くで倒れましてねえ。とりあえずこちらで休ませてもらいました」
椿は言った。
「これで金泊を貼れば、完成だ。みんなのおかげで、予定よりも早く出来た」
天皇はしみじみと見あげた。舎人の親王は静かにうなずいた。そしてつぶやく。
「行基はどうしていますかな。最近現れませんが」
明江は天皇を見て苦笑いした。
「きっと、どこか遠い国で畑を作っているでしょう。最初に現れたのは法華寺の前でしたね」
明江は自分で言いながら、法華寺へ行けば行基に会えるような気がしておかしかった。
「舎人の親王。ちょっと行ってみませんか」
舎人の親王がうなずくと、明江は西へ向かって歩き出した。女官がついて来ようとするのを止めて二人で歩き出す。平城宮に向かう道を歩いていくと小さな山が見えてくる。
「こんな山だったなあ」
明江は独り言を言った。こんな小山からタイムスリップして来たのを思い出した。舎人の親王は椿だったことを憶えていないのか特に反応しない。
二人は歩き続けて法華寺についた。元気のない者たちが尼から粥をもらっている。尼が笑顔で迎えた。
その時に地震が起こった。明江と舎人の親王は本堂に逃げ込んだ。本尊の薬師如来が二人を見下ろしている。明江はしみじみと見あげた。薬師如来が微笑んだ気がした。
「あなたはみごとに炎をともしてくれました。もう、あなたの時代にもどってください。ありがとうございました」
薬師如来がつぶやくと、後光が大きくなりまわりが見えないほどの明るさにつつまれた。明江はすべてを忘れるほどのやわらかさを感じた。このまま死んでしまうのかとさえ思った。
黒いトンネルをぬけて、明るいところで出た。目を開けると尼さんたちが心配そうにのぞきこんでいる。
「あのう。大丈夫ですか?」
尼の一人が声をかけてきた。
「だいじょうぶです」
なんとか答えて、目をあけると自分の姿を見た。奈良時代の衣装ではない。首にはデジタルカメラをぶらさげている。
「あのう。すみませんが、今年は何年になりますか」
明江はおそるおそる聞いた。
「2012年ですよ」
尼さんは不思議そうに答えた。
「すみません。遅くなりました」
法華寺の山門から舎人の親王、いや椿が走りこんできた。
「明江さん。この近くで倒れましてねえ。とりあえずこちらで休ませてもらいました」
椿は言った。
Posted by ひらひらヒーラーズ at
07:56
│Comments(0)